温暖化を感じる魚08 ヒゲソリダイ | コラム | 市場魚貝類図鑑

温暖化を感じる魚08 ヒゲソリダイ

鬚が長いのがヒゲダイ、鬚が短いのがヒゲソリダイ


ヒゲダイ科(イサキ科)ヒゲダイ属の魚だ。ヒゲダイ属の魚は皮膚が髭状になる。ヒゲダイはこの鬚が長く、本種ヒゲソリダイは短い。
同属のヒゲダイとの混同があって、呼び名などでもどちらのものか判断つきかねるものが多い。ヒゲダイ属は魚類学的にも混乱期があって、標準和名・ヒゲソリヒゲダイ、ニラミヒゲダイなどもいたことになっている。また2005年まで学名的にも混乱があった。
実際、並べてみると真っ黒なヒゲダイと縞模様のあるヒゲソリダイ、鬚の長いヒゲダイと鬚の短いヒゲソリダイを見間違う余地がないが、例えば1930年代などは比較的珍しい魚だったのかも知れない。
本州以南に生息。琉球列島にはいない。生息域は真っ直ぐ南に琉球列島から南の西太平洋の熱帯域や赤道以南ではなく、朝鮮半島から台湾、中国大陸方面に生息域を広げている。

太平洋側よりも日本海側で顕著に増えている


本種は古くから本州以南に生息していた。生息域だけをみると北上傾向にあるとは思えないが、水揚げを見ると明らかに北上している。
また小型が多かったが、近年大型化している。
太平洋側よりも日本海側で水揚げが増えていて、2006年現在、新潟県などでは無視できない水揚げ量がある。
珍しい魚だった時代が長く、未だに本種を知らないという漁師さんが少なくないが、新潟市の競り場に並ぶ量は年々増えていて、一定の評価が生まれている。

東京都築地市場・豊洲市場で見ると、2018年までの築地市場時代には本種を知らない仲卸が多かったが、現豊洲市場では本種を知らない人はまずいない。
2010年くらいから味のよさから一定の評価を得つつあり、今現在は安定的にやや高値のつく魚になっている。
東京を始め関東の市場では標準和名のヒゲソリダイとして扱われている。また荷主(日本各地から魚を送ってくる)も標準和名で送って来る。
標準和名で来るものは、食用魚としては新参者である。

夏の魚だが、おいしいのは夏だけではない


さて、本種は非常に味がいい。
4月、5月くらいから8月にかけて脂が豊かであるが、8月、9月の抱卵個体が産卵してもすぐに味が回復するようで、味の落ちる時季が短い。
古くは夏は白身の枯渇する時季だったが、今、そのことからも重宝されているようである。
どのような料理にしてもおいしい魚であるが、本種の価値を上げているのは刺身だろう。
切りつけた身が非常に美しく、また活け締めなどにすると食感のよいのが長続きする。
うま味も豊かで欠点がない。

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