温暖化を感じる魚10 フエダイ | コラム | 市場魚貝類図鑑

温暖化を感じる魚10 フエダイ

今や青森県でも発見されている


フエダイ科フエダイ属フエダイなので、科・属の和名のもととなった魚でもある。フエダイ科全体を代表する魚のようだが、フエダイ科には膨大な種が存在する。沖合いの深海に近いところにいるもの、サンゴ礁にいるもの、汽水域にいるものもある。その中にあってフエダイは浅場にいる種の代表といった存在でしかない。
フエダイ科の魚は熱帯域に多く、先にも述べたように魚類の中でももっとも繁栄しているグループである。一属であるフエダイ属でも未だに新種が発見されているので「約」がつくが、国内に26種以上生息しているはずだ。
本種は魚類学的に長い混乱期があり、和名は非常に古いが、現在の学名がついたのは宮崎大学の赤崎正人によって1983年である。

また、昔の多くの図鑑や魚類検索で「本州中部以南のサンゴ礁や浅い岩礁域」という曖昧な生息域がのっているが、これも発見された海域での話であり、漁業的には鹿児島県以南の魚だった。
徐々に北上しており、2026年現在の生息域は日本海は青森県深浦以南、太平洋側では茨城県以南だ。ただし漁業的には太平洋相模湾、山陰以南である。
フエダイ属には西太平洋の温帯域から南半球までの広い生息域を持つ種が多い中、本種は中国大陸までの狭い海域にしかいないのも特徴である。

比較的浅い岩礁域やサンゴ礁域にいる魚だが、非常に大きくなる。体長70㎝近くなるというと、マダイなど1m近くなるではないか、と思われるかもしれない。ただマダイは左右に平べったいがフエダイは厚みがある。例えば体長60㎝前後を実見するとびっくりするほど大きく感じる。
紫がかった暗色の体に背中の後半に小さな白い点があるので、産地によっては「白星ふえだい」とも呼ばれている。

ほんの少し前まで沖縄、鹿児島だけの魚だった時代


2010年くらいまでほとんど流通することがなく珍魚といってもよかった。
水揚げがあるのは沖縄県、鹿児島県が主で、大分県、紀伊半島和歌山県串本などからの希に入荷を見た。
これは呼び名からもうかがえる。例えば地方名を見ると鹿児島県、沖縄県のものは、本種だけに対する呼び名である。四国や紀伊半島にはないに等しい。もしくはあっても似たような魚(例えばクロホシフエダイなど)と兼用されている。

流通の世界で存在感が増してきたのは2018年以降である。最初は認知度が低くやや高級魚程度だったが、情報社会化しつつある水産業界にあってすぐに超高級魚となった。他の南方系の魚が地方名で流通するのに対して、今現在、ほぼ標準和名でやってくる

刺身の味と見た目が価格を押し上げている


本種の価値は刺身にあり、と言っても過言ではない。旬は5月くらいから8月くらいで、時季をすぎても余り味が落ちない。
血合いが非常にきれいで、脂がたっぷりあっても、その脂の質がいいためか嫌みがない。
欠点のない魚なので、入荷すると例えば東京都豊洲市場の仲卸などで目立つところにあったりする。

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