ウチワエビ

Scientific Name / Ibacuc ciliatus (von.Siebold,1824)

ウチワエビの形態写真

全長20cm20センチ前後。縦扁(平たい)する。頭部のノコギリ状の縁は細かい。

    • 魚貝の物知り度

      ★★★
      知っていたら通人級
    • 食べ物としての重要度

      ★★
      地域的、嗜好品的なもの
    • 味の評価度

      ★★★★
      非常に美味

    分類

    節足動物門甲殻上綱軟甲綱(エビ綱)真軟綱亜綱(エビ亜綱)エビ上目

    外国名

    学名

    Ibacuc ciliatus (von.Siebold,1824)

    漢字・学名由来

    漢字 団扇蝦、団扇海老。
    由来・語源 団扇(うちわ)の形に似たエビの意味。
    von.Siebold
    フィリップ・フランツ・バルタザール・フォン・シーボルト(Philipp Franz Balthasar von Siebold ドイツ生まれ。1796〜1866年)。医師、博物学者。1824〜1828年まで長崎市出島に滞在。江戸参府も経験。鳴滝塾を開き、日本の医学に貢献するとともに、膨大な動植物を採取し、持ち帰る。

    地方名・市場名

    生息域

    海水生。千葉県から九州、日本海西部、沖縄、東シナ海、フィリピン諸島、オーストラリア沿岸。水深100メートルほどの浅場。

    生態

    基本情報

    比較的伊豆半島・能登半島以西の沿岸の泥場などに多い。底曳き網などで大量にとれ、生命力も強い。比較的安くておいしいという存在であったが、近年おいしさが知れ渡り、関東の市場などでも高級なものとなっている。
    甲殻類の中でももっとも身が詰まっている上に、おいしいのでぜひ一度食べて欲しいエビのひとつだ。

    水産基本情報

    市場での評価 都市部では珍しい。値段は高い。
    漁法 底曳網、刺し網
    主な産地 長崎県
    ■市場にはオオバウチワエビと分けられないで入荷。混同されている。

    選び方

    生きているもの。持って重いもの。

    味わい

    旬は秋
    殻は硬い。身は詰まっていて、エビの中でも歩留まりの高いもののひとつ。
    殻や脚などから実にいいだしが出る。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    ウチワエビの料理法/汁(みそ汁)、焼く(素焼き)、ゆでる(塩ゆで)、生食(刺身)
    ウチワエビのみそ汁 生きているウチワエビを包丁で適当に切る。これを水から煮出してみそを溶くだけ。昆布だしなどを使う必要はない。エビらしい香り、うま味性分からくる強い甘味が汁に溶け出して、すすり込むたびに至福を感じる。身、内子などは手づかみで取り出すべし。これまた適度に締まり、強いうまさがある。

    焼きエビ(焼きウチワエビ) ウチワエビの殻を両手で割り、中心部に切れ目を入れて、足の方を上にして強火で焼き上げる。振り塩をしてもきかない。振り塩をするなら梨子割りにする。内子、白子に熱が通る程度に焼く。筋肉はやや強めに締まり、うま味、甘味が凝縮して濃厚な味わいに。エビは料理しないに限る。

    ウチワエビの塩ゆで 足を上に向けて甲羅の左右両端を押す。甲羅が割れるとともに火が通り安くなる。これを10分前後やや強めの塩水でゆであげる。生きている状態のときは足を上にして入れ、動かなくなったら甲羅を上にするといい。ゆであがったら甲羅を上にして余分な水分を落とす。焼くほどにはエビの香りも、うま味、甘味も濃厚ではないが、食べ始めると止められない味だ。ついつい2枚、3枚という感じ。

    ウチワエビの刺身 足を上にして甲羅の左右を手の平で強く押すと甲羅が割れる。腹部は柔らかいのでキッチンばさみなどで開き、中の筋肉をかき出す。これをこのまま刺身にしてもいいし、氷水で少しさらしてもいい。また表面を軽く炙るとエビらしい香りが楽しめ、甘みが増す。内子があったらゆでて添えるといい。エビ類のなかでも甘味とうま味が強く、ぷるんとして食感も感じられる。非常に美味である。

    好んで食べる地域・名物料理

    加工品・名産品

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    ■シーボルト(1796〜1866)が自ら集め、オランダに持ち帰り、新種記載したもの。

    参考文献・協力

    『大型甲殻類図鑑』(三宅貞祥 保育社)、『商用魚介名ハンドブック』(日本水産物貿易協会編 成山堂)、『あいちの水産物 ハンドブック100』(愛知県農林水産課)
    「山口県下関漁港呼び名一覧」

    地方名・市場名

    シャクシエビ オバエビ
    場所三重県東紀州 参考三重県『東紀州のお魚リスト』 
    ツビエビ
    場所愛知県三谷 
    ウチワエビ
    場所愛知県一色 仲買店舗魚兼 
    キンチャクエビ
    場所静岡県雄踏町 浜名漁協舞阪港 山小水産 
    コウエビ
    場所山口県下関市 
    シラミエビ シラミ
    場所島根県浜田市、山口県長門、千崎、下関市 
    セッタ
    場所徳島県阿南市 徳島県地方卸売市場橘水産魚市場 角元 寛治[ネット] 
    ハタキエビ
    場所静岡県沼津市 魚市場 飯塚栄一 
    バタバタ
    場所京都府網野町 割烹の宿こばま荘谷口(1968生)[ネット] 
    パチパチエビ
    場所宮崎県日南市 日高勝巳(料理人)・府美子 日南市 浜乃茶屋[ネット] 
    ヒッパタキ
    場所静岡県沼津市静浦 和丸 
    ペッタン
    場所静岡県焼津周辺 しらす(静岡市在住 水産関係に勤務)[メール] 
    パッチンエビ
    備考この形から。 
  • 主食材として「ウチワエビ」を使用したレシピ一覧

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