最近は嬉しくもなし、キビレカワハギ発見

ほんの数年前は珍しかったのに、今や平凡な魚に成り下がる


八王子綜合卸売協同組合、舵丸水産、クマゴロウが銭州で釣り上げたキビレカワハギをくれた。ありがとう。
2020年くらいまでは、見つけただけでヤッホーと飛び上がっていたのに、今やアリガト程度のうれしさでしかない。
最近では相模湾北部でもときどき揚がるので、感動が薄くなっているのだ。
ちなみに1970年代までウマヅラハギも相模湾にはほとんどいなかったらしい。ウマヅラハギの大群がいきなり押し寄せて伊豆半島網代に干もの街道ができたのと比べると、キビレカワハギはじわじわと増えてきているといった感じがする。ウマヅラハギの突然の大量の説明はつかないが、キビレカワハギは明らかに水温の上昇による。
ちなみにキビレカワハギは1979年まで国内海域で発見されていなかった。ただし発見海域が小笠原なので、これは未知の海域で、未知の魚を発見しただけだろう。
銭州は伊豆諸島神津島の南西にある。小笠原と銭州は、東京と鹿児島くらいの距離離れている。また最近キビレハギが揚がる相模湾北部にまで北上していることからして、距離で水温を測るのも変だが、45年ほどで急激に海水温が上昇しているのが目に見える。
さて本種の旬はよくわからない。
珍しくなくなったと言っても写真撮影したのは26個体でしかない。やはりいまだに珍しい魚のひとつではある。この珍魚ではないが入手困難な魚の位置づけが難しい。
体長32cm・753gなので比較的大きな個体である。
皮を剥いた時点で上物とわかる。
カワハギ科の魚はそんなに目立って脂がのらないが、身に張りがあり、身にうま味が増す時季がある。
今のところ、旬と言えるのは初夏ではないかと考えているが、まだまだ食べた個体数が少なすぎる。

深夜酒の肴は小体な器に盛ってちょこっと食べる


刺身には何度もしているので、今回は湯引きにしてみた。
肝が膨らんでいたので合わせて食べる。
水洗いして皮を剥ぐ。
三枚に下ろして腹骨・血合い骨を取り、一度水分を拭き取り、塩を加えた湯で数秒ゆでる。
氷水に落として水分を拭き取る。
肝は同じ湯で完全に火を通して氷水にとり、水分をきっておく。
これを器に盛り付けて、旬の青唐辛子を散らす。
これを少しだけ冷凍庫に入れて冷や冷やにする。
すだちと醤油で食べたが、いろんなものをつけて食べるといいかも。
最近、この肴的なものは深夜に作って深夜酒の友とするが、湯引くことで食感とうま味が増し、この一切れ一切れに酒に互角で戦えるよさがある。
深夜にはうますぎる肝も、後味がいいので、冷たい酒で流し込むと快感が走る。
冷たい酒と冷たく冷やした魚に夏本番を感じた。


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