4月1日 小田原魚市場 渉さんおすすめはキンギョ

キンギョというよりも宝石です


神奈川県小田原市、小田原魚市場、江の安 日渉丸、渉さんたちの選別は至極ていねいである。選別された魚すべてが美しい。例えばその中に普通は選別しないような魚がいくつか並んでいたとする。当然、1つだけ競るというわけにはいかないので、1列全部買うことになる。小魚を大量に競っても、渉さんたちの魚なら持て余すわけではない。けど時間はかかる。
今回の目玉のひとつがネンブツダイである。小型をキンギョという。いうなれば定置網の嫌われもの。防波堤釣り師の嫌われている。未利用魚としても間違いではないくらい食用になる確率が低い魚である。
よくもこれだけていねいに、と思うほど形がそろっている上に、宝石のように輝いている。

干すこと6時間


宝石を前にしていろいろじっくり深く深く考えた。
徳島県宍喰方式でやろう!
持ち帰ったら大きめのザルに入れて軍手をつけてざくざくかき混ぜる。せっかくの宝石が煉瓦のような色合いになるのは残念だが、鱗はほぼ取れている。
水分をよくきり、多めの塩を投入してぐらぐら沸かした湯に投入する。ここで8分ほど煮熟する。ゆで加減はしっかり目でなければダメだ。
これをバットにとり平らにならして団扇で扇ぐ。
湯気が収まったら竹ザルに乗せて扇風機で6時間ほど乾かす。

煮干し以前がうまい


6時間では完全に乾かない。筋肉はまだ柔らかい。問題はこの半乾きが信じられないくらいうまいことだろう。
食い出すと手が伸びて伸びて困る。
ネンブツダイという魚はうま味が非常に豊かなのだ。魚類の中でもトップクラスではないかと思う。
最近、歯なしのボクは頭をもってしごくように食べるが、歯が健康なら頭からいって欲しい。歯に耳石のガシっとした衝撃が来るのが好きだという人もいるだろう。
ちなみにこのゆでて釜揚げ状体が非常にうまいことは、高知県中土佐町久礼の海辺で、よっぱらいジイサンに教わったことだ。
高知県でネンブツダイの煮干しを、「はりめ」という。徳島県宍喰では「赤じゃこ」だけど干す前のうまさを知っている人も少なくなっているようだ。


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