メバルの基礎知識3 元祖メバルは浅場にいる3種類
魚類学的な話なので知らなくても大丈夫だけど
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さて、本コラムはあくまで一般消費者のためのものです。高度な知識がある人が読んでも面白くしてあるつもりですが、一般性の高いものの比重が高いと思っていただきたい。関連ページは改訂を繰り返していく。
・メバルの基礎知識1 江戸時代の眼張とメバルと呼ばれる魚
・メバルの基礎知識2 もっとも一般的なメバル4種
・メバルの基礎知識3 元祖メバルは浅場にいる3種類(▼本ページ)
・メバルの基礎知識4 「メバル」の主流は圧倒的にウスメバルである
写真は一番上がアカメバルで胸鰭軟条は15、下2尾はシロメバルで胸鰭軟条は17だ。
関東では、一般的な食用「メバル」は浅場にいるタイプ(古くはメバル1種とされていたが現在はシロメバル、クロメバル、アカメバルに分かれた)と、沖合いにいるタイプ(ウスメバル)に分けられてきた。
今回の「メバル」は浅場にいるタイプの話である。
20世紀まで単に「メバル」とは、浅場にいるタイプのものを指した。
なぜか? 動力船が一般的になるまで沖合いにいるウスメバルは遠い存在だったからだ。
また浅場が健全だった時代、近場である浅場でたくさん揚がった「メバル」は鮮度がよく安くて馴染み深かったからでもある。
流通上は大卸・仲卸でも両タイプは2種として価値が決められている。浅場にいるタイプの方がやや高い。
なぜか、やはり味の違いだと思う。魚を食べ慣れている仲卸などにとっては、うま味のある、浅場にいるタイプが優位であるからだ。
ちなみに両種の値段の差は縮まってきている。これは関東という国内最大の消費地には圧倒的にウスメバルの入荷が多く、浅場にいる「メバル」の入荷が減少しているからだ。
ちなみに、国内では浅場にいるタイプの方が歴史は古いとしたが、関東では浅場にいるタイプの入荷が減っているが、瀬戸内海周辺では今も浅場にいるメバルの入荷が関東と比べる多いはずだ。
3種になったというが一般消費者にも、流通関係においても3種に区別する必要はないと思っている。
丹念に調べると同じ産地の同じ荷に何種類かの浅場の「メバル」が混ざっているくらいで、流通上は「メバル」、もしくは「黒メバル」である。
浅場にいるのを「メバル」というとき沖合にいるウスメバルは「沖メバル」とされ、「黒メバル」とするときには沖合いのウスメバルは「赤メバル」だ。
流通上、この2つの区分で充分なりたっている。
魚類学的な話になるが、深掘りしたくない人は読まなくてもいい。実生活は関わりがないからだ。
旧メバルは2008年、シロメバル、クロメバル、アカメバルに分かれた。
クロメバル=Sebastes ventricosus Temminck & Schlegel, 1843
アカメバル=Sebastes inermis Cuvier, 1829
シロメバル=Sebastes cheni Barsukov, 1988
旧メバルの学名はアカメバルが引き継いでいる。
赤、黒、白は実際の体色を反映していない
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3種で問題になるのは「クロメバル」の体色が黒いわけでもなく、シロメバルの体色が白いだけでもない。若干アカメバルが赤い傾向にあるが、それも不安定である。また死後時間がたつと色が変化することからも色合いでの区別は無理だ。
むしろ標準和名から色を外すべきだったかも。
3種を見分けるためには、現実にはていねいに鰭などの軟条と体色を記録していくしかない。
ということで実生活には関わりがないが、蘊蓄を披露するだけなら3種のメバルに関して知っておいてもいいだろう。
■写真は神戸市駒ヶ林で水揚げされた「めばる」で、青いのが当地では「青めばる」と呼ばれるクロメバル、薄い茶色のものが当地で「本めばる」と呼ばれているシロメバル。(協力/藤本修さん(神戸市『鮮魚なな福』))
このメバル3タイプについては戦前(1945年以前)から論争が繰り広げられてきていた。これを遮断していたのは田中茂穂など東京大学の魚類学者ではないかと思っている。
田中茂穂はあまり種を分けようとしなかった。現在のヒラソウダ、マルソウダにしてもなかなか認めようとしなかった模様なのだ。
〈アカメバル、クロメバル、キンメバルなどゝ區別せられ是等は多少住所が違っている為に各ゝを別種とする學者もあるが、是等は同一種の異型とみるべきである〉。『図説有用魚類千種 正続』(田中茂穂・阿部宗明 森北出版)
3種は鰭の軟条数をていねいに数えて同定するしかないが、それでも微妙な個体がいる。
結局、胸鰭軟条を数えて「シロメバル17」、「クロメバル16」、「アカメバル15」と厳格に確認する、臀鰭軟条も記録すべきだ。またこの何条数も必ずしも有効とはいえない。
この3種の生息域の違いは現在のところわからない。混ざりで入荷してくるので同水域にいる可能性が高い。また生態的な違いもわからない。
じょじょに九州産、瀬戸内海産など詳細なデータを集めていくつもりだが、非常に時間がかかりそうだ。
メバル3種の種ごとの味の違いはわからない
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複数種が手に入ったら煮つけで食べ比べている。
写真は手前がアカメバル、奥がシロメバルである。
幾通りか食べ比べてみているが、味は同じである。
じっくり食べると違うと言った仲卸がいたが、同定も不完全な上、じっくり食べないと違いがわからないというのは、違いがないということだ。
それにしても浅場にいるメバルの煮つけは非常にうまい。
ただ、沖にいるウスメバルと煮つけで対抗させても上下はない気がする。旬はだいたい4月から6月初めくらいまでで同じ。浅場にいるメバルの方がうま味が豊かで味わい深く、沖にいるウスメバルはあっさりして旬の初夏には食べ飽きることなく食べられる。
上下の差ではなく、好みの問題だ。
