琵琶湖産ワカサギのエスカベーシュ
エスカベーシュでもエスカベッシュでも、そんなことはどうでもいい

東京は神保町、小川町、一橋など深夜族の多い町で仕事を始めた。
いくつかの仕事場にはそれぞれ深夜(朝)、食事をするところがあり、そこに集う人達の業種はぐちゃぐちゃ混ぜこぜだった。
中華に、和食に、喫茶店(カフェなんて言葉なかった気がする)などなどで、その喫茶店的なところで初めて食べたのがエスカベーシュだ。
品書きにはエスカベーシュとあった。
そのときスペイン生まれ、育ちで、横浜のものすごいお嬢様学校出で、就職が神保町という生粋の日本人女子が、「エスカベーシュは間違っているわ」と言ったのよ♪
エスカベッシュ、エスカベーシュ、エスカベッチェ(間違っているかも)などなど、この当時すでにオバハン、オヤジだった人たちが侃々諤々とやり始めた。
食い気に走りながら、「いろんなことを知っててハイカラな人達じゃのー」、と思ったものだ。
ボクは勝手に西洋式南蛮漬けと呼びたい。
この西洋式南蛮漬けも当座にわたって食べ続けられる

我が家の作り方は、ものすごく若い頃、購読していた『専門料理』のもので、ちょっとだけ『暮らしの手帖 フランス』が混ざっているし、『四季の味』や『栄養と料理』も、だ。
要するに、作り方に正解はなく、なんとなくフランス、スペイン料理のようなもの、にすればええのだと思う。
この酸っぱくて、野菜の香りがして爽やかな魚料理は、ときどきやたらに食べたくなる。
ワカサギは二度揚げしている上に、酢に漬けたので余計に柔らかい。
酢を使った料理なのに深夜に食べても腹に優しい。
それにしてもワカサギというのは揚げられて、香り高いマリナードにつけ込まれても、ちゃんとワカサギらしい味がする。
全体に甘みがあるし、皮目にはちゃんとキュウリウオ科特有のスイカとかきゅうりの風味がある。
後からしっかり苦味が追いかけてくるのもすごい。
さて、このエスカベーシュは当座食べ続けていくもので、1週間はもつ。
この当座食べ続けられる料理を日常に活用すると、お金の節約にもなるし、なんとなく生活に潤いが生まれる。
合わせたのは、山梨の一升瓶赤ワインの水割り。
久しぶりに買った琵琶湖産ワカサギは大きくて見事だった
オリーブオイルだと油切りしなくていいのだけど

これでエスカベーシュを作る。
マリナードを作る。
白ワインビネガー・市販のハーブブイヨンを溶かした水を白ワインビネガーの3倍くらい(味見しながら)・ドライシェリー少々・砂糖・塩・白コショウを合わせて一煮立ち(材料はこんな感じでお好きなように)。
香りのある野菜を刻んでおく。我が家には玉ねぎとにんじんしかなかった。
ワカサギはざっと水分を切る。
小麦粉をまぶして少し置く。
これをじっくり二度揚げして、油をペーパータオルで切る。
オリーブオイルで揚げれば油切りは不要だけど、今じゃとてもとても。