秋田県男鹿沖、赤テリの「かび」のあり、なしの比較

旬がわかりにくいウスメバルの個体比較をやってみた


ウスメバルは冬から初夏にかけて入荷が多く、味がいいと思っている。メバル科の魚は卵胎生なので旬がわかりにくい。
ただし10月半ばは荷(産地から送られてきたウスメバル)が少ない時季にあたる。
2尾ともに生殖巣は非常に小さかった。

「かび」あり、雌26cm・421g は三枚に下ろして刺身状に切ると身が白濁している。
刺身の色からして、白く白濁したものの方がいいことがわかる。
たぶんいちばん悪い時季ではないかと思うが、口に入れると脂があり、淡泊な中にもうま味がある。
舌にのせてだれない。

血合いが赤く、透明感があるなど、見た目最高の正常個体


さて、「かび」なし、雄26cm・386g は刺身にしてとてもきれいだった、なによりも血合いが赤く、身に透明感がある。
ただし、脂はなく、味もそれほどあるとは言えない。

見た目からいったら、後者だけど、魚を知っている人間なら真っ先に前者に箸が伸びるだろう。
なんと水揚げして安いはずの「かび」ありの方がうまいではないか!
ちなみに煮つけでも「かび」ありの方がおいしかった。

ちなみに1個体ずつの話なので、正確さには欠ける。
また、市場流通ではこれから年末に掛けてウスメバルの入荷が増えるとともに味的にも安定し、春から初夏にかけていちばんいい時季を迎える。

いちばん下「かび」のありである。見た目は悪いが味はよかった


近藤亮さん(第八松宝丸 秋田県男鹿市)に秋田県男鹿半島沖の魚を送っていただいた。
中に赤テリ(テリ)と呼ばれているウスメバルがあった。
3個体あって、濃緑色に鱗が変色したパピローマ(大石圭一の本にはパピローマとある。メラノーマともいうのだと思う)のある雌26cm・421g 、ない方は雄で26cm・386gであった。
秋田県男鹿ではこれを「かび」と呼んでいるようで、この鱗が変色した個体は安いという。この「かび」の正体は専門ではないのでわからない。なんらかの情報があるかも知れないが、それに費やす時間がない。
できることは両個体を食べ比べることだ。
作ったのは刺身と煮つけである。
ともに作り方は省く。
ちなみにウスメバルの刺身は昔はほぼ存在しなかった。最近のものである。今は都心などの居酒屋でときどき目にする。
同種での正常個体と異常個体の比較が出来たことに対して、第八松宝丸には大いに感謝します。
■第八松宝丸は秋田県男鹿市で、赤テリ(ウスメバル)、マダラなどの釣りを行っています。


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