体長30cm前後になる。細長く紡錘形。全体がゼラチン質で鱗はあるがわからない。腹鰭がなく、胸鰭がある。背鰭に棘がない。
ノロゲンゲの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
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魚貝の物知り度
★★★★
知っていたら達人級食べ物としての重要度
★★
地域的、嗜好品的なもの味の評価度
★★
まずくはない
分類
硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目ゲンゲ亜目ゲンゲ科ノロゲンゲ属外国名
学名
Bothrocara hollandi (Jordan & Hubbs, 1925)漢字・学名由来
漢字 野呂玄華、野呂幻魚
由来・語源
ゲンゲの由来は「下魚」。日本海でのエゾバイガイ科の貝(つぶ)のカゴ漁やズワイガニ漁に混獲され、捨てられてきた。それで「ゲギョ(下魚)」がなまって「ゲンゲ」になったと言われている。
黒い魚で「玄魚」。
「幻魚」とも書く。Jordan
David Starr Jordan〈デイビッド・スター・ジョーダン(ジョルダン) 1851-1931 アメリカ〉。魚類学者。日本の魚類学の創始者とされる田中茂穂とスナイダーとの共著『日本魚類目録』を出版。地方名・市場名
生息域
海水魚。水深200〜1800メートル。
北海道〜山口までの日本海、大和堆、北海道〜宮城の太平洋沿岸。朝鮮半島東岸沖、ピーター大帝湾、オホーツク海、ベーリング海。生態
ー基本情報
日本海での底曳網、カニ漁の副産物。
古くは捨てられていたもの。
産地で食用となって流通していたもの。
テレビなどで取り上げられるようになって、知名度は上がっている。
近年、関東の小売り店などでも見られるようになっている。
ゲンゲで食用となるのはタナカゲンゲ、ノロゲンゲ、カンテンゲンゲ、シロゲンゲの4種。
なかでもノロゲンゲがいちばん高く、見かける回数も多い。水産基本情報
市場での評価 関東でも量的には少ないが、徐々に珍しくなくなってきている。値段は安い。産地でも安いもの。
漁法 底曳き網
産地 日本海側の各地選び方
ゼラチン質の身体に透明感のあるもの。触ってしっかり硬いもの。味わい
旬は寒い時期
白身で水分が多く寒天のようで。鱗は気にならない。骨も軟らかい。
熱を通しても硬くならず、ゼラチン状。
硬く干すと旨みが増す。栄養
ー危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
好んで食べる地域・名物料理
げんげ汁(鍋) 新潟県から鳥取県までの日本海側。
ぐら汁 京都府、山陰では本種を「ぐら」とも呼び汁にする。〈スマシ汁の種にしますと、独特の風味があって、たいへん美味しいのです。これを山陰地方では「グラ汁」と称して、漁村では広く用いられています。また、この魚は茶わんムシのダシに使われていますが、これも独特の風味があって美味しいものです〉『魚の横顔』(松原喜代松)ほか
とうろ汁 鳥取県では本種を「とろっとするから『とうろ』」でこの汁を「とうろ汁」という。加工品・名産品
釣り情報
ー歴史・ことわざ・雑学など
ー参考文献・協力
秋田県雄勝郡羽後町の佐藤順さん、新潟県上越市片岡鮮魚店さんに情報をいただきました
『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)『魚の分類の図鑑』上野輝彌・坂本一男 東海大学出版局)、『新釈魚名考』(榮川省造 青銅企画出)、『魚と貝の事典』(月賢二 柏書房)、『但馬の美味しいお魚図鑑』(たじまの魚 新商品・新メニューの開発チーム 但馬水産事務所)、『魚の横顔』(松原喜代松 石崎書店 1971)