
殻長13cmを超える。貝殻はやや厚いが、もろく表面に波状の皺がある。軟体は貝殻よりも遙かに大きく、水管を伸ばすと貝殻の長さの3倍以上になる。[側面から]
ナミガイの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
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魚貝の物知り度 |
食べ物としての重要度 |
味の評価度 |
★★★★ 知っていたら達人級 |
★★★ 一般的(流通量は多くも少なくもない) |
★★★ 美味 |
分類 |
軟体動物門二枚貝綱オオノガイ目キヌマトイガイ科
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外国名 |
英名/Japanese geoduck
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学名 |
Panopea japonica A.Adams,1850
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漢字・学名由来 |
漢字 波貝
由来・語源 『目八譜』より。貝殻に波状の皺(成長肋、しわ)があるため。 |
地方名・市場名 [?] |
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生息域 |
海水生。北海道から九州、オホーツク海。サハリン、沿海州、太平洋沿岸のメキシコからアメリカ。
潮間帯下部から水深30メートルの砂泥地。 |
生態 |
ー |
基本情報 |
浅い砂地にいるもので、非常に深く砂に潜る性質がある。
流通上は「白ミル」と呼ばれている。オオノガイの仲間では唯一流通にのる。古くから食用とはなっていたが、ミルクイがあまりとれなくなり、代用品として利用されるようになり知られるようになった。
ミルクイと比べてまずいとされるが、実はなかなか美味。 |
水産基本情報 |
市場での評価 流通漁は少なくはない。やや高値。
漁法 潜水漁
産地 愛知県、千葉県など  ミルクイとナミガイの比較
ミルクイ(上)と白ミル(ナミガイ・下) ナミガイ(キヌマトイガイ科)が「白ミル」と呼ばれるようになったのはミルクイ(ミルガイ、バカガイ科)が減少して高価になったため。ミルクイは歩留まりが悪い上にナミガイの二倍以上もする。残念ながら味はミルクイに軍配が上がる。 |
選び方 |
原則的に生きているもの。水管を触って張りのあるもの。 |
味わい |
旬は春
主に食べるのは水管。水管は大きくミルクイと比べると歩留まりは悪くない。
熱を通し過ぎると硬くなる。  ナミガイの食べられる部分
食べる部分 基本的にすべて食べることができる。ただ食感がよく生食に向いているのは右の水管の部分。他の部分は軟らかいので煮たりソテーしたりする。 |
栄養 |
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寄生虫 |
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食べ方・料理法・作り方 |
生食(刺身、ぬた)、ソテー(バター焼き、中華炒め)、揚げる(天ぷら)、煮る(内臓と足の煮つけ)、焼く(干もの)  ナミガイの刺身
ナミガイの刺身 水管のみ使う。これを開いて湯通しし、氷水に落として薄皮を剥く。水分をよく切り、刺身状に切る。湯通しする時間が長いほど食感が強くなる。貝らしい風味は弱いが甘味があってなかなか捨てがたい味である。  ナミガイのぬた
ナミガイのぬた ナミガイの水管、ひもなどを湯通しして氷水に落として薄皮を取り、水分をよく切り食べやすい和える素材に合わせて切る。これをねぎ、ギョウジャニンニク、うるい(オオバギボウシ)、たらの芽などと合わせて、酢みそで和える。写真は西京みそ、砂糖、酢を合わせて練り辛子を混ぜた辛子酢みそ。  ナミガイとチンゲンサイの炒めもの
ナミガイとチンゲンサイの炒めもの ナミガイは内臓以外の部分の薄皮を剥き、適宜に切る。チンゲンサイは湯通しして適宜に切る(湯通しは必ずしもしなくていい)。中華鍋などに油を入れてタカノツメとしょうがのみじん切りで香りづけする。ここでチンゲンサイとミルガイを短時間炒める。味つけは塩コショウ、紹興酒のみ。野菜は空心菜や白菜などなんでもいい。  ナミガイのバター焼き
ナミガイのバター焼き ひもや水管の部分の薄皮を剥き、翌水分を切る。適宜に切る。フライパンにバターと白ワイン、にんにく、タカノツメを入れて泡立つほど熱したらナミガイを加えて短時間ソテー、仕上げにパセリなどで香りづけする。タカノツメは途中で取り出す。  ナミガイの天ぷら
ナミガイの天ぷら 小振りのナミガイは水管の部分を開いて薄皮を剥く。水分をよく切り、小麦粉をまぶして衣をつけて強火で短時間揚げる。火を通しすぎると硬くなるので要注意。揚げることで甘味が強くなり、心地よい食感も楽しめて美味。  ナミガイの煮つけ
ナミガイの煮つけ 足と内臓部分を湯通しして、冷水に落としてぬめりなどを取る。これを酒、砂糖、しょうゆでこってりと甘辛く煮上げていく。佃煮風に煮てもいい。  ミルガイの酒干し
ミルガイの酒干し ミルガイの水管と水管のつけねの部分を開いて皮を剥く。振り塩をして酒を振りビニール袋などに入れて密封する。これを半日ほど干す。干し上がったら軽くあぶる。火を通しすぎると硬くなる。水管は焼き上がったら縦方向に切って出す。 |
好んで食べる地域・名物料理 |
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加工品・名産品 |
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釣り情報 |
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歴史・ことわざ・雑学など |
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参考文献・協力 |
『日本近海産貝類図鑑』(奥谷喬司編著 東海大学出版局)、『魚と貝の事典』(望月賢二 柏書房)、『日本及び周辺地域産軟体動物総目録』(肥後俊一、後藤芳央 エル貝類出版局) |
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