料理店にとっての「白みる(ナミガイ)」の歩留まり

料理店で客に出せるのは元の重さの12パーセント


広い意味でのオオノガイの仲間(オオノガイ目)でキヌマトイガイ科に属している。キヌマトイガイ科には他に食用として流通している貝はなく、例えばキヌマトイガイは大きくても1cm前後の小ささである。
またオオノガイの仲間の主な食用部分は長く伸びる水管である。二枚貝は刺身にする部分は足、外套膜(ひも)、貝柱、水管であるが、貝の種類で食べる部分が違うこともおぼえておくといいだろう。
本種は今現在でも、「みるがい(ミルクイ)」の半値である。それでも歩留まりは「みるがい(ミルクイ)」並に悪いので、実は貝類の中ではかなり高価だ。
要するに国内の二枚貝が激減しているなか、両種とも貴重な存在になっているのだ。
「白みる(ナミガイ)」は、1980年代には「みるがい(ミルクイ)」の偽物、代用品などという人がいた。
確かに初期の回転ずしで回っていたこともあるが、需要が起こるとすぐに値を上げて、国内にいるナミガイは比較的安価な回転ずしからは消えたと記憶する。
替わって「白みる」と呼ばれて回っていたのはアメリカ、カナダなどからの輸入ものである。
この偽物呼ばわりしていたやからの多くは両種を本当に食べ比べていないのだと思っている。
両種の違いは上下ではなく、好き嫌いの範疇でしかない。
個人的にはややミルクイの方が好きだが、ナミガイが落ちるかと聞かれると、疑問符がわく。
要するにどちらもおいしいのである。
今回の愛知県三河湾産の「みるがい(ミルクイ)」は身に張りがあり、微かに渋く、苦味もあり、強い甘味と貝らしい複雑なうま味成分の絡み合いが感じられる。
1個体当たり料理店では2人前だろうが、2人前食べてももの足りなかった。

国産の二枚貝ではもっとも重量級


料理店では水管だけなのに、1個が非常に重い。大型になると1個で1㎏などというものもあるが、平均すると400g前後である。
ちなみに海水から上げると海水を吐くので徐々に軽くなる。市場で計量したときは390gであった。
それにしても3個で1㎏超えはとても重い。

剥き身にする間にも海水が出て行く


貝殻の重さ33.5gで、剥き身の重さは180gなので、消えた162gは海水と細かな皮膜、未消化の懸濁物質の塊である。

最後に水管だけにして、皮を剥くと46g


水管だけにしただけでは食べられない。
薄い皮を剥いて初めて客に提供できる。
広い意味でのオオノガイの仲間であるが、本種だけが皮に苦味がない。
後は食べやすく切るだけ。


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