タマガンゾウビラメ(Fivespot flounder)

Scientific Name / Pseudorhombus pentophthalmus Günther,1862

タマガンゾウビラメの形態写真

20cm SL 前後になる。有眼部の側線の上下に3個ずつの青黒い斑紋がある。

    • 魚貝の物知り度

      ★★★★
      知っていたら達人級
    • 食べ物としての重要度

      ★★
      地域的、嗜好品的なもの
    • 味の評価度

      ★★★★
      非常に美味

    分類

    顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系カレイ目カレイ亜目ヒラメ科ガンゾウビラメ属

    外国名

    Fivespot flounder

    学名

    Pseudorhombus pentophthalmus Günther,1862

    漢字・学名由来

    漢字 玉雁瘡平目、玉雁雑平目、玉雁瘡鮃、雁雑鮃
    由来・語源 ガンゾウビラメ(ガンゾオビラメ)で表側に丸い斑文があるという意味合い。「がんぞお」とは鱗が粗雑でカサカサした感じの魚。雁(鳥)の飛来する時期にはやる皮膚病に似た体表をしたヒラメの意味。
    Günther,
    Albert Karl Ludwig Gotthilf Günther (アルベルト・ギュンター 1830-1914 ドイツ→イギリス)。動物学者。

    地方名・市場名

    生息域

    海水魚。水深40〜80mの砂泥地。
    北海道室蘭〜九州南岸の太平洋沿岸、北海道〜九州南岸の日本海・東シナ海沿岸、瀬戸内海、東シナ海大陸棚域。
    朝鮮半島南岸・東岸、済州島、台湾、中国沿岸。

    生態

    産卵期は3月〜8月。

    基本情報

    主に底曳き網で揚がる。干もの原料としても重要。上乾品は瀬戸内海周辺、泉南、和歌山県などでは名物となっている。近年、広島県の「でべら」は高級品となっている。
    産地などでは刺身や煮つけなど盛んに食べている。

    水産基本情報

    市場での評価 鮮魚でくることはほとんどない。関東でも少ないながら干物が見られる。
    漁法 底曳網
    主な産地 新潟県、和歌山県、広島県ほか瀬戸内海沿岸

    選び方

    干物ではよく乾燥しているもので、変色しているもの、黒っぽいものはさける。

    味わい

    旬は秋から産卵期である春〜夏。
    鱗は細かくたわしなどで簡単にとれる。骨はあまり硬くない。
    透明感のある白身でやや水分が多い。

    栄養

    寄生虫

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    タマガンゾウビラメの料理法・調理法・食べ方/生食(刺身)、揚げる(唐揚げ)、焼く(干もの、みそ漬け)


    タマガンゾウビラメの刺身 めったに手に入らないが、鮮度のいいものは刺身がいちばんうまいと思う。小さな魚だがていねいに水洗いし、五枚下ろしにして皮を引く。甘味とうま味が豊かでとてもうまい。ヒラメ科のなかでももっとも味のいい魚のひとつ。

    タマガンゾウビラメの唐揚げ 刺身の中骨などを乾かして揚げる。また小型はそのまま丸揚げにしてとても香ばしい。春から夏にかけての子持ちはとりわけおいしい。水洗いして頭部を落とし、水分をよくきり、片栗粉をまぶしてじっくり二度揚げする。小型は丸ごと食べられる。
    タマガンゾウビラメの煮つけ 身が締まっていて、内臓などきれいな魚である。タワシなどで鱗を取り、頭部を落として鰭を切り落とす。熱湯に通して冷水に落として残った鱗やぬめりを流す。水分をよくきり酒・醤油・水で煮る。みりん、砂糖などで甘味を漬けてもいい。身離れがよく、身・真子にうま味がありとても美味。
    タマガンゾウビラメの干もの 単に塩焼きなどにするよりも、軽く干し上げて焼いた方がいい。タワシなどで鱗を落とし、頭部を大きく切り落とし、水洗いをする。水分をよくきり、立て塩につける。やや強めに干し上げる。
    タマガンゾウビラメのみそ漬け 身が薄いものの、身離れがいいので漬け魚にしてもおいしい。水洗いして、頭部を大きくくりはなし、水分をよくきり、振り塩をする。表面に出て来た水分を拭き取り、みそ(ここでは白みそ)・みりん・少量の砂糖の地につけ込む。

    好んで食べる地域・名物料理

    新潟県 新潟市では刺身や骨煎餅を作る。
    刺身 新潟県新潟市、愛媛県西条市では刺身で食べる。

    がんぞがれい飯 焼いた「干がれい」の骨をのぞき、小豆島の富士大醤油、みりん、砂糖などを合わせたたれに漬け込んで柳行李(やなぎごおり)で作った弁当箱にご飯とともにつめた。まずは弁当箱にご飯を敷き、漬け込んだ「干がれい」を並べ、ご飯をかぶせる。いちばん上にも漬け込んだ「干がれい」をのせる。漁師さんの弁当の定番であったという。[坊勢漁業協同組合 兵庫県姫路市家島町坊勢]

    雑煮 「干がれい」をあぶり、骨を取り去り、だしをとる。根菜類をこのだしで煮て、だしに使った「ひがれい」をもどして、しょうゆ味の汁にし焼かない餅を入れる。「ひがれい」のうま味のある汁に島で使われている甘口の『富士大醤油』が鄙びた優しい味を作り出す。[兵庫県姫路市坊勢島]
    ひがれいのなます 「ひがれい」をあぶり、ほぐしてておく。にんじん、大根などは千切りにして塩をして置く。大根、にんじんは水分をよく絞り、三杯酢であえてほぐした「ひがれい」と和えてしばらく馴染ませる。[坊勢漁業協同組合 兵庫県姫路市家島町坊勢]
    干がれいのすまし汁 焼いて骨をのぞいた「干がれい」ととろろ昆布を器に入れ、小豆島の富士大醤油を加えて置く。ここに熱湯をそそぐだけでできる。[坊勢漁業協同組合 兵庫県姫路市家島町坊勢]
    ふなべたの刺身 タマガンゾウビラメを刺身で食べるのは、愛媛県西条市、新潟県などで確認している。特に新潟市では盛んに刺身で食べている。安い魚ではあるがとてつもなく手間がかかるので、味のよさがわからないと仕込む気にもなれないだろう。

    加工品・名産品


    タマガンゾウビラメの干しがれいひがれい(干がれい) 和歌山県和歌山市雑賀崎は底曳き網の盛んなところ。そこでまとまって揚がる本種を「あせ(ダンチク)」の茎に通してからからに干す。[金栄丸 和歌山県和歌山市雑賀崎(詳細はweb「はまかぜ通信」)]
    ひがれいの食べ方ひがれい・でべら(干がれい) 強く干し上げたものは、そのままあぶっても硬くて食べにくい。板などの上にのせて木槌で徹底的に叩いてから炙る。焼くと身離れがよくなり食べやすくなる。
    ひがれいひがれい(干がれい) 軽くあぶり縦方向にハサミを入れて提供すると骨が取りやすくなる。
    でびらでびら(上乾品) 広島県尾道市など瀬戸内海周辺。別名「木の葉がれい」。金槌などでとんとんと叩いて骨を軟らかくして、単にあぶって食べる。雑煮に入れる。焼いてほぐしてみそと合わせて団子状にして、ゴマと熱いお茶をかけて食べる「でべら茶漬け」。
    焼きひがれい焼きひがれい 兵庫県姫路市家島町坊勢はもっともタマガンゾウビラメの干ものを多様に利用する。単に干したもののほか焼いて骨を抜いたものもある。[坊勢漁業協同組合 兵庫県姫路市家島町坊勢]
    タマガンゾウビラメの骨せんべいふなべた骨せんべい 新潟市では「ふなべた(タマガンゾウビラメ)」の刺身をよく食べる。この刺身にした中骨の部分を干して売っている。これを揚げると実に香ばしくてうまい。

    釣り情報

    相模湾ではアマダイ釣りなどのときにオキアミ餌でつれる魚のひとつ。外道扱いをして捨てる人が多いようだが、本命以上にうまいと思う。できる限り、お持ち帰り願いたい。

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    協力/金栄丸(和歌山県和歌山市雑賀崎 雑賀崎では魚を漁師さんから直接買うことができる) マルコウ水産(東京都八王子市)
    『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂)、『広島県 文化百選 味産品』(広島県 中国新聞社)、『聞書き 広島の食事』(農文協)

    地方名・市場名

    ジナイガレイ
    場所山口県 参考文献 
    バクチ
    場所山形県庄内 
    ガンゾウ
    場所徳島県由岐町 参考阿波学会研究紀要・由岐町の魚類と淡水エビ類 
    ヒダリ
    場所新潟県能生 参考文献 
    ウスバガレイ
    場所福井県 参考文献 
    カレ
    場所高知 参考文献 
    ベタ
    場所高知県御畳瀬 参考文献 
    デベラ[手平] デビラ[手平]
    場所広島県、四国 備考手の平に似たカレイの意味。 
    ヒガレ[干鰈] ヒガレイ[干鰈]
    場所和歌山県雑賀崎、兵庫県姫路市家島町坊勢 
    フナベタ
    場所新潟県 
    ホウショウ
    場所愛媛県西条市 
    ホシガレイ
    場所兵庫県淡路 参考文献 
  • 主食材として「タマガンゾウビラメ」を使用したレシピ一覧

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