シイラ

Scientific Name / Coryphaena hippurus Linnaeus, 1758

代表的な呼び名マヒマヒ

シイラの形態写真

SL 2m 前後、重さ40kgにもなる。体は背側・腹側ともに直線的で体高が低く極端に側へんして長い。背鰭は1。大型になるにつれて雄の頭部は上と前方に強く張り出す。[SL 60cm]
シイラの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
SL 2m 前後、重さ40kgにもなる。体は背側・腹側ともに直線的で体高が低く極端に側へんして長い。背鰭は1。大型になるにつれて雄の頭部は上と前方に強く張り出す。[SL 60cm]SL 2m 前後、重さ40kgにもなる。体は背側・腹側ともに直線的で体高が低く極端に側へんして長い。背鰭は1。大型になるにつれて雄の頭部は上と前方に強く張り出す。[SL 29cm]SL 2m 前後、重さ40kgにもなる。背鰭は1、細長く側へんする。大型になるにつれて雄の頭部は上と前方に張り出す。[1mを超える雄の頭部]
    • 珍魚度・珍しさ

      ★★
      少し努力すれば手に入る
    • 魚貝の物知り度

      ★★★
      知っていたら通人級
    • 食べ物としての重要度

      ★★★
      一般的(流通量は普通)
    • 味の評価度

      ★★★★
      非常に美味

    分類

    顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ目スズキ亜目シイラ科シイラ属

    外国名

    Common dolphinfish
    言語英語 場所アメリカ 
    Lampuga
    言語スペイン語 
    Coryphène commune
    言語フランス語 
    鬼頭刀魚
    言語中国語 
    Mahimahi
    言語ハワイ語 場所ハワイ 

    学名

    Coryphaena hippurus Linnaeus, 1758

    漢字・学名由来

    漢字 粃、鱪、鱰、鬼頭魚 Standard Japanese name / Siira
    由来・語源 東京都そのた各地の呼び名。シイラの皮が硬く、身が薄いことからイネの粃を思わせるため。粃(しいな、しいら)は身のないイネの籾(もみ)のこと。この「しいな」、「しいら」が魚名として使われるようになる。
    魚へんに暑は、もっとも一般的な本種の漢字。「暑」は陽気があついこと、あつい季節のことで、夏のこと。当然、国字だと思われる。
    〈しいら 俗にとうやく、又くまびきといふ、これ九万疋の義なり、一名ひら、、鱪(ショ)の文字を用ゆ〉『魚鑑』(武井周作 天保辛卯 1831)
    〈しいら(とうやく) 相模三崎〉。『帝国博物館天産部魚類標本目録.帝国博物館』(石川千代松・松浦歓一郎 1897/明治30年)
    〈スズキ型族シイラ型類シイラ科シイラ屬 シイラ Coryphaena hippurus LINNAEUS〉。『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)
    Mahi-mahi ハワイ諸島の呼び名で、「非常に強い」。釣り上げたときに引きが強いため。
    鬼頭刀魚 中国語は頭部が厳つく、青竜刀のように左右に平たいためだ。
    Common dolphinfish ドルフィンフィッシュはイルカのように船について泳ぐため。
    Linnaeus
    Carl von Linné(カール・フォン・リンネ 1707-1778 スウェーデン)。二名法を確立。

    地方名・市場名

    生息域

    海水魚。沿岸や沖合の表層域。
    北海道全沿岸〜九州南岸の日本海・東シナ海・太平洋沿岸、瀬戸内海水道部、屋久島、トカラ列島、琉球列島、南大東島、八丈島、小笠原諸島。
    千島列島南部沖の太平洋、オホーツク海、間宮海峡〜沿海州南部、朝鮮半島南岸・東岸、遼寧省〜広東省の中国沿岸、台湾、インド-太平洋全域、北緯50度〜南緯40度までの大西洋。

    生態

    産卵は春から盛夏。
    孵化した稚魚は流れ藻などにつく。稚魚期には小型の甲殻類。仔魚期には小魚。成魚になると魚を捕食する。
    成長は満1歳で38センチ、2歳で68センチ、3歳で90センチ、4歳で1メートルを超え、4歳で1.5メートルになる。
    水深20メートルより浅いところを回遊する。

    基本情報

    世界中の暖かい海域にいる大型魚。世界中の熱帯域・亜熱帯域・温帯域でとれ、多くの国で食用となっている。例えばアメリカ、メキシコ湾のドルフィンはヘミングウェーの老人と海でも有名である。同ハワイなどではマヒマヒとして好んで食べられている。最近、シイラよりもマヒマヒの方が有名であったりする。
    古くは暖流の影響の強い地域で水揚げされるもので、北国では馴染みのない魚だったが、近年、北海道でも普通に水揚げされている。
    国内では春から夏に生まれた稚魚は日本列島周辺を回遊しながら大きくなる。
    国内16、17世紀に日本海で鱪づけ漁が始まり、古くから夏の魚の代表的なものである。この日本海でとれたシイラがなんらかの防腐処理をされて山岳地帯にまで送られていたのだと考えている。冬の鱈、夏の鱪(シイラ)という地域も少なくない。
    実際今でも長野県や広島県、岡山県などの山間部には本種が多く送られ、消費されている。当然、長野県、岡山県、広島県などでは食用としても重要だし、祭事や雑節などでの食文化も重要だと思っている。海辺の町としては、日本海では新潟県でよく食べられている。また四国では高知県など太平洋に面した地域では盛んに食べている。
    北上傾向にあり北海道でも揚がるようになって水揚げ量も増えているようである。とても味のいい魚なので積極的に食べるべきである。
    珍魚度 普通の食用魚である。ただし大型魚で小売店に切身でしか並ばないので、丸のままの状態を見ることはほぼない。丸のままを見る、手に入れるのは意外に難しいかも。

    松本市公設市場に山積みになっている三重県産シイラ山間部で好まれる シイラは海に近い地域よりも山間部で好まれる傾向がある。長野県では松本市周辺など。中国地方では山間部ではさかんに食べられている。スーパーや魚屋でもありふれたもの。惣菜魚としても、またお盆のご馳走にもなる。この地域のシイラは太平洋側では三重県や高知県、日本海側では島根県のものが山間部に送られる。また岡山県岡山市岡山魚市場は山間部へのシイラの中継地点となっていたりする。[写真は長野県松本市の市場に山積みになっているシイラ]

    水産基本情報

    市場での評価 夏から秋には入荷の多い魚。ただし関東ではあまり食べられていない。値段も安く手軽な総菜魚。主に切り身でスーパーや魚屋に並ぶ。これが新潟、山形などでは刺身などで珍重される。また中国地方の山間部では刺身、惣菜などでよく食べられている。
    漁法 シイラ漬け漁/定置網/巻き網
    シイラ漬け漁は流れ藻や流木につく性質を利用してたもの。モウソウチクを束ねて沖合に設置する。ここに小魚などがつき、シイラが集まる。これを巻き網で漁獲するもの。
    シイラの鮮度保持は意外に難しく、漁獲時の状況により、筋肉内に乳酸がたまりpH(ペーハー)が低くなる。すると身質がもろくなり、味に悪影響を及ぼす。(島根県水産試験場)

    選び方

    触って硬いもの。鰓が赤いもの。

    味わい

    旬は産卵前の晩春から初夏、産卵後の秋から冬だが、産卵を終えるとエサをしきりに追い、鱈腹食べて急激に身に張りを取り戻す。あえて深く考えると夏に荒食いをし、秋から冬に脂をたっぷりため込む。寒くなるとエサを追わなくなるので、やや脂が落ちる。
    まずいのは抱卵したもの、産卵後である。
    鱗は小さくて取りやすい。皮は厚くて丈夫。骨はあまり硬くない。
    血合いは弱い。熱を通しても硬く締まらず、身離れがいい。
    料理の方向性
    くせのない白身でほどよく繊維質。煮ても焼いても、揚げても、生で食べても及第点の味である。
    注/毒魚などと非常に悪質で変な表現をする人がいるが大間違い。鮮度管理さえやっていれば安全である。
    鮮度が落ちたものは本種だけではなくすべての魚、食品が危険。特に本種は一見、白身ではあるがサバのようにヒスチジンの含有量が多い。鮮度管理が悪いとヒスタミンを生成してしまう。ヒスタミンは加熱しても分解しないのでやっかいである。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    シイラの料理・レシピ・食べ方/生食(刺身、カルパッチョ、セビチェ)、ソテー(ステーキ、ムニエル、フライパン照り焼き)、揚げる(フィッシュ&チップス、フライ、唐揚げ)、煮る(煮つけ、ポシェ、真子煮つけ)、汁(みそ汁)、焼く(幽庵焼き、粕漬け、塩焼き)
    シイラの蒸し魚(清蒸) 本種は様々な料理に使えて、旬の時期が長いなど使い勝手のいい魚である。問題はやたらに大きな頭である。これを蒸してみた。清蒸(チンジョン)である。
    水洗いして頭部を梨子割りにする。表面の水分をていねいに取る。大皿に頭をのせて15分ほど強火で蒸す。
    蒸し上がったらタレ(醤油・紹興酒・魚醬・紹興酒、好みで発覚、青唐辛子)をかけ、ネギなどを乗せて煙が出るくらいに熱した油をかける。
    なによりも皮がおいしいし、皮に隠れた身が豊潤でうま味豊かである。見た目が豪華である上に、食べても食べても身が出てくるのもいい。

    シイラの刺身(尾) 大型のシイラの体の部位でいちばんうまいのは尾かも知れない。脂もそこそこあり、なんと言ってもうま味が豊かだ。
    水洗いして三枚に下ろす。大型は2、3等分にするとやりやすい。尾の部分の皮を引きそぎ切りにする。
    筋っぽく見えるが、筋は思ったほど気にならない。見に濃厚なうま味があり、とても食感が心地よい。刺身が並んでいたら、尾から食べて欲しいと思う。

    シイラの刺身(背) 夏のシイラの刺身。透明感がないのは脂がのっているため。水洗いして三枚に下ろし皮を引く。大型は背と腹に分けて血合いを切り取る。うま味、甘味がとても豊かでおいしい。透明感のあるものよりも鈍色の方がうまい。ブリに似ているが、酸味は少なく、優しい味をしている。イヤミがない。
    シイラのポキ 足の速い魚なので生食はできるだけ早めに食べてしまいたい。そんなとき本料理はとても便利。刺身などで余った部分などを細かく切る。好みの野菜などを適当に切る。2通りのやり方がある魚の切り身にごま油・醤油・柑橘類・にんにくなどをくわえて和えて置く。食べる直前に野菜を入れる。食べるのと作るのが同時ならこの工程を同時に行う。実にバランスのとれた味わいで、何度作っても食べ飽きない。
    シイラのカルパッチョ 三枚に下ろして皮を引き、できるだけ薄切りにする。皿ににんにくの切り口をなすりつけ、オリーブオイルをかけ回す。ここにシイラの薄切りを乗せていく。並べ終わったらスプーンなどでたたいて馴染ませる。ここまでがカルパッチョに基本であとはすべて自由。ここではたたきつぶしたトマトとアボカドを載せてレモン汁を振り、上からもオリーブオイルをかけた。市販のジェノベーゼを使ったり、サルサソースを使うともっと簡単。
    シイラの焼霜造りシイラの焼霜造り 腹側の比較的皮の薄い分をあぶって切りつけたもの。単に刺身にしてもおいしいが、もうひとつ曲がない味。これを皮目をあぶることで、香ばしさや皮のうま味をプラスしてみた。

    シイラのステーキ ステーキといっても塩コショウして小麦粉をつけないでソテーするというだけのこと。大型魚にはとても向いている料理だと考えている。
    三枚に下ろして切り身にする。塩コショウして少し寝かせる。表面に出て来た水分を拭き取り、じっくり香ばしくソテーする。香ばしく上がったら皿に取り、フライパンの火を止める。
    ブランデー、醤油、にんにくみじん切り、粗挽き黒コショウをくわえて再び火をつけてデグラッセ。これをソースにしてソテーした切り身にかけ回す。
    ビールにも合うが、なんといってもご飯に合う。

    シイラのムニエル フレンチのムニエルではなくアメリカンに彩り豊かに作ってみた。ムニエル+サラダという感じ。「シイラのムニエル」ではなく、「マヒマヒのムニエル」かも。シイラは三枚に下ろして、皮を引く。塩コショウして小麦粉をまぶしてじっくり油でソテー、仕上げにバターで風味づけする。
    シイラのフライパン照焼シイラのフライパン照焼 三枚に下ろして、切り身にする。小麦粉をまぶして油でソテー。こんがりとソテーできらた身は取り出し、プライパンにみりん、酒、砂糖(砂糖を使うならみりんは不要)を合わせて少し煮つめ、そこに切り身を戻してからめる。ご飯のおかずに非常にいい。
    シイラのフライ シイラは非常に上質の白身できめ細かく熱を通しても硬く締まらない。三枚に下ろして皮を引く、塩コショウして小麦粉をまぶして、卵黄にくぐらせてパン粉をつけて揚げる。さくっとあがり、中はジューシーで甘味がある。
    マヒマヒのフィッシュ&チップスシイラのフィッシュ&チップス 水洗いして、三枚に下ろして皮を引き、適宜に切る。塩コショウして、衣をつけて揚げる。衣は小麦粉、卵黄、ビールを合わせたもの。揚げたジャガイモと一緒に盛る。真ん中にあるのはモルトビネガー。
    シイラの揚げびたしシイラの揚げびたし そばつゆ(市販でも十分)を作る。みりんとしょうゆを半々に合わせ、砂糖を加えて加減して少し煮つめる。1ヶ月ほど寝かせてもいい。水にソウダの厚削りを入れてコトコトにて、仕上げにサバ節けずりを加えて火を止める。これをこして調味料と合わせる。シイラは切り身にして片栗粉(小麦粉でも可)をまぶして揚げてそばつゆにつけ込む。野菜も同様にして漬け込む。甘長唐辛子は炙っている。
    シイラのポシェシイラのポシェ クールブイヨンでポシェ(ゆでた)したもの。シイラは三枚に下ろして皮を引く、市販のハーブブイヨン(クールブイヨン)を溶いた湯でゆでる。そのまま鍋止めしておく。保存する場合にはゆで汁と一緒に。これをマヨネーズで和えてパンに乗せたり、サラダに添えて出す。必ず煮汁を生かすべきだ。
    シイラのあら煮シイラの煮つけ あらを煮つけにする。かまや中骨などは湯通しして、冷水に取り滑りやよごれを取る。水をよく切り、しょうゆ、みりん、砂糖(みりんを使う場合には不要。同様に砂糖を使う場合にはみりんは不要)、水を合わせて煮る。鮮度が悪いと濃いめの味つけに、新しいものはあっさりと煮る。
    シイラのみそ汁シイラのみそ汁 水洗いして刺身や塩焼きを作り、出たあらを使ってみそ汁にした。あらは一度湯通しして、冷水に落とし、汚れや滑りなどを取る。よく水を切り、昆布だし(水で可)で煮だしてみそを溶く。季節の野菜を加えるとごちそうになる。
    シイラのつけ焼き カマや頭部は単純に塩焼きにしてもおいしいが、体幹部分を塩焼きにすると少し単調に思える。今回は切り身を使った。最近、水揚げが増えているのでスーパーで見かける機会も増えている。切り身に控えめに振り塩をする。水分が出て来たら拭き取る。これをじっくり焼き上げる。8分通り火が通ったらみりん・醤油を合わせたものを塗りながら仕上げる。
    シイラのかま焼きシイラのかまの塩焼き 大型のもののかま(胸鰭の周辺)に振り塩をする。半日ほど寝かせて、じっくりと長時間かけて焼き上げる。ワイルドに手づかみで食べるものだが、思った以上に身が多く、強いうま味と甘味が楽しめる。
    シイラの幽庵焼きシイラの幽庵焼き(祐庵焼き) しょうゆ、みりん、酒を1対1対1で合わせたもの(幽庵地)に漬け込んで焼いたものを言う。水洗いしたシイラを三枚に下ろして適宜に切り、水をよく拭き取る。幽庵地に漬け込んで半日ほど寝かせて、じっくりと焦げないように焼く。シイラは焼いてもあまり強く締まらず美味。
    シイラの胃袋・肝の湯引きシイラの胃袋・肝の湯引き 大型の胃袋と肝を塩ゆでにしたもの。胃袋は丁寧に水洗いして滑りや餌などの汚れを落とす。塩ゆでしたら氷水につけてあら熱を取り、胃袋は出来るだけ薄く輪切り状にする。辛子酢みそで食べると美味。

    関連コラム(料理法・レシピ)

    記事のサムネイル写真シイラのポキって素晴らしい
    7月27日の、5㎏のシイラを食べ尽くすには多種多様な料理に挑戦するほかはなかった。今までやったことのない料理を作り、ことごとくおいしかったことにビックリした。・・・ 続きを開く
    記事のサムネイル写真シイラのでか頭は清蒸にしてうまし
    7月27日の、5㎏のシイラを食べ尽くすために多種多様な料理に挑戦した。 シイラは素直においしい魚なので余計にいろいろ考え込んでしまっての挑戦であったが、ことごと・・・ 続きを開く

    好んで食べる地域・名物料理


    くまびきのわたくまびきのわた 大型のシイラの胃袋を塩ゆでにしたもの。高知県室戸市ではさまざまな大型魚のわたをこのように塩ゆでにして酢みそなどで食べるようだ。できるだけ薄く切るとシコシコと弾力があって非常に美味。
    シイラの真子煮真子煮つけ 島根県ではシイラの卵巣をよく食べる。基本的に甘辛くにつけておかずやお弁当に使う。夏に抱卵したシイラが回遊してくるので、スーパーなどにも卵巣だけで並んでいる。シイラの卵巣は非常においしく、煮つけ以外にも塩焼きにも向く。

    関連コラム(郷土料理)

    記事のサムネイル写真高知県の万能調味料、ぬた
    高知県の居酒屋さんでカツオの刺身についてきたもの。 カツオだけではなくブリでもヒラソウダなどにもあう、万能調味料である。 材料は、葉ニンニク、ごま(入れないとい・・・ 続きを開く

    加工品・名産品


    シイラのスモークスモーク シイラの身を縦に割り、スモークしたもの。みそやみりんなど和の調味料を使っているところが面白い。[浜吉水産 徳島県海部郡美波町]
    シイラの塩干したれ 塩味の干もの。今のところ大型魚を切り身にして塩味をつけ、干したもの。「たれ」とは三重県などでの干もののこと。千葉県でもツチクジラのものにみられる。
    シイラみりん干しみりん干し シイラのみりん干しは西日本でよく見かけるもののひとつ。クセのない白身で味つけ方で様々に楽しめる。[西野商店 三重県尾鷲市、庄司商店 三重県熊野市井戸町など]
    マヒマヒのしっぽジャーキーマヒマヒのしっぽジャーキー 大型のシイラの尾部分の身を薄切りにして塩コショウで味つけして、固く干し上げたもの。微かにスモークした風味のようなものも感じるが、とてもおいしい。[興津漁協四万十マヒマヒ丸企業組合 高知県高岡郡四万十町]
    シイラの開き干し開き干し 夏から秋にかけて大量に揚がる小振りのシイラをうまく使った名品。淡泊な中にも旨み風味があり、なかなかうまい。[牧屋 神奈川県小田原市]

    釣り情報

    海でのルアー釣り、トローリングなどでの対象魚。
    餌でも釣れるが、小型が多い。

    歴史・ことわざ・雑学など

    夏の魚 日本海の新潟や山形では夏の魚の代表的なもの。
    高知県 他には産地である高知県などでは刺身を珍重し、他県などからも陸送している。酢みそで食べる。
    十百、万匹、九万匹 〈トオヒャク・トウヤクは十百、マンビキ・マビキは万びき、クマビキは九万ぼきで、みな群れが続けて釣れる意味〉。『さかな異名抄』(内田恵太郎 慶応通信 1956)

    参考文献・協力

    協力/さんの水産(神奈川県小田原)、阿部鮮魚店(山形県酒田市)、魚喰民族 石田拓治さん(長崎県長崎市)、田中水産(鹿児島県鹿児島市)、陳信州さん
    『新釈 魚名考』栄川省造 青銅企画出版)、『島根のさかな』(島根県水産試験場編著 山陰中央新聞社)、『日本漁具・漁法図説』(金田禎之 成山堂)、『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『名越左源太の見た幕末奄美の食と菓子』(今村規子 南方新社 2010)

    地方名・市場名

    ネコヅラ ネコズラ
    場所九州 参考文献 
    シビトクライ[死人食らい]
    場所千葉県 備考漂流物などにつく性質があるので、ときに水死体の周りにも集まるため。 参考文献 
    ナンリョウ[南鐐]
    場所和歌山県南部 備考南鐐二朱銀のこと。 参考『新釈魚名考』(榮川省造 青銅企画出版) 
    サンペイシイラ
    場所富山県新湊 サイズ / 時期30cm前後 参考文献 
    アキヨシ[秋良]
    場所山口県小野田 備考秋に味がいいため。 参考『新釈魚名考』(榮川省造 青銅企画出版)、文献 
    サンマク
    場所島根県八束郡(現松江市・出雲市の一部)・西部・隠岐 参考『新釈魚名考』(榮川省造 青銅企画出版) 
    カマレゴ ホウチョウ メヌキ
    場所島根県西部 サイズ / 時期小型 参考島根県水産技術センター 
    ハコイタジイラ
    場所新潟県佐渡 参考『佐渡の味』(浜口一夫 野島出版 1979) 
    メジイラ
    場所新潟県能生 性別雌 備考「雌シイラ」だと思う。 参考島根県水産技術センター、文献 
    メンカブリ
    場所新潟県能生附近・筒石 サイズ / 時期大型 性別雄 備考雄の頭部が肥大して面をかぶっているようだから。 参考文献、『新釈魚名考』(榮川省造 青銅企画出版) 
    シイラ
    場所東京都・伊豆諸島・小笠原諸島、秋田県象潟、和歌山県串本 備考秋田県象潟・和歌山県串本では若魚のこと。 参考文献 
    トウヤク
    場所東京都大島・八丈島、神奈川県、静岡県、三重県志摩市和具 備考三重県志摩市和具では、納屋守のとおやく(戸役)は鈍い人間がする、ということを由来に、本種がうまくないことによる。(日比野友亮さん) 参考『伊豆・小笠原諸島の魚たち 改訂2版』(東京都水産試験場 2004) 
    ヒユウヌイユ ヒユヌイユ
    場所沖縄 参考文献 
    フーヌイユ
    場所沖縄県 参考文献 
    シイヌイズ
    場所沖縄県八重山 参考『沖縄水産試験場 沖縄で漁獲される主要魚の名称一覧表』 
    ガンナマンビカー
    場所沖縄県南城市知念漁協 参考『美ら海市場図鑑 知念市場の魚たち』(三浦信男 ぬにふぁ星 2012) 
    マンビカー
    場所沖縄県南城市知念漁協・沖縄本島・八重山・石垣島 参考『美ら海市場図鑑 知念市場の魚たち』(三浦信男 ぬにふぁ星 2012) 
    ヒーイュ
    場所沖縄県宮古 参考『沖縄水産試験場 沖縄で漁獲される主要魚の名称一覧表』 
    フーノイヨ
    場所沖縄県糸満 参考文献 
    ウマトウヤク
    場所神奈川県 サイズ / 時期成魚 参考文献 
    トウシャク
    場所神奈川県三崎 参考文献 
    トヒャク[十百]
    場所神奈川県三崎、紀州各地、関西、高知、高知県安芸郡東洋町甲浦 サイズ / 時期成魚 備考「十百」で一度のたくさんとれるため。 参考『新釈魚名考』(榮川省造 青銅企画出版) 
    シビトバタ
    場所神奈川県三浦 備考太平洋側の漁村で葬式の時に使う細長い三角形の小旗の形に似ているところから。 参考『新釈魚名考』(榮川省造 青銅企画出版) 
    サンペイ
    場所福井県 
    マビキ
    場所福岡県・柳川市、長崎県壱岐 参考文献 
    シラ
    場所秋田県、東京、富山県 参考文献 
    ヒラ
    場所秋田県象潟 参考文献 
    ヤナギハ
    場所紀州 サイズ / 時期幼魚 参考文献 
    ヒウオ ヒノウオ
    場所西北九州 備考多くを塩干品にするため。 参考『新釈魚名考』(榮川省造 青銅企画出版) 
    バガブクラ
    場所長崎県五島 参考文献 
    オバア バアサ
    場所静岡県榛原 備考雄の顔が老婆に似ているため。 参考『新釈魚名考』(榮川省造 青銅企画出版) 
    サンベン
    場所高知県安芸郡東洋町甲浦・室戸市、京都府舞鶴市舞鶴魚市場 サイズ / 時期50cm・1kg前後 
    シマノコゼン
    場所鹿児島県串木野 参考文献 
    ヒョウノイヨ
    場所鹿児島県奄美大島 参考文献 
    ウマビキ
    場所徳島県海部郡海陽町『宍喰漁業協同組合』 
    カナヤマ
    場所長崎県以西漁業 サイズ / 時期大型 
    ヒス
    場所高知県宿毛市田ノ浦すくも湾漁協、鹿児島県 備考方言で「乾物」のことを「ひす」ということから干魚のこと。 参考『新釈魚名考』(榮川省造 青銅企画出版) 
    マンサク[万作]
    場所広島県、島根県、山口県宇部市 備考「豊年万作」の「万作」。これは不作を意味する「粃」を嫌ったためだ。中国地方山間部では山陰や山陽の海辺(中継地点)からシイラが送られてくる。これを雑節や畑仕事の合間のご馳走とする 
    マンビキ[万匹/万疋]
    場所長崎県長崎市、鹿児島県鹿児島市・種子島 備考一度にたくさんとれるため。 参考『種子島の釣魚図鑑』(鏑木紘一 たましだ舎 2016年) 
    クマビキ[九万疋]
    場所鹿児島諸島部以外 備考たぶんクマビキ、奄美大島でヒユ。 参考『名越左源太の見た幕末奄美の食と菓子』(今村規子 南方新社 2010) 
    ヒユ
    場所鹿児島県奄美大島 参考『名越左源太の見た幕末奄美の食と菓子』(今村規子 南方新社 2010) 
    カミソリ
    場所福井県、京都市舞鶴市舞鶴魚市場・伊根町 サイズ / 時期30cm 備考【出世魚】 
    サンペン
    場所京都市舞鶴、舞鶴魚市場 サイズ / 時期500g~1kg 備考【出世魚】 
    マヒマヒ[mahimahi]
    場所ハワイ 
  • 主食材として「シイラ」を使用したレシピ一覧

関連コンテンツ