SL 2m 前後、重さ40kgにもなる。背鰭は1、細長く側へんする。大型になるにつれて頭部は上と前方に張り出す。[SL 60cm]
シイラの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
![SL 2m 前後、重さ40kgにもなる。背鰭は1、細長く側へんする。大型になるにつれて頭部は上と前方に張り出す。[SL 60cm]](https://www.zukan-bouz.com/public_image/Fish/88/Thumb630/siira.jpg)
![SL 2m 前後。背鰭は1、細長く側へんする。大型になるにつれて頭部は上と前方に張り出す。[SL 29cm]](https://www.zukan-bouz.com/public_image/Fish/88/Thumb630/siira0.jpg)
![SL 2m 前後。背鰭は1、細長く側へんする。大型になるにつれて頭部は上と前方に張り出す。[1mを超える個体の頭部]](https://www.zukan-bouz.com/public_image/Fish/88/Thumb630/siira00.jpg)
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魚貝の物知り度
★★★
知っていたら通人級食べ物としての重要度
★★★
一般的(流通量は普通)味の評価度
★★★★
非常に美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ目スズキ亜目シイラ科シイラ属外国名
学名
Coryphaena hippurus Linnaeus, 1758漢字・学名由来
漢字 粃、鱪、鱰、鬼頭魚 Siira
由来・語源 東京都そのた各地の呼び名。シイラの皮が硬く、身が薄いことからイネの粃を思わせるため。粃(しいな、しいら)は身のないイネの籾(もみ)のこと。この「しいな」、「しいら」が魚名として使われるようになる。
Mahi-mahi ハワイ諸島の呼び名で、「非常に強い」。釣り上げたときに引きが強いため。
鬼頭刀魚 中国語は頭部が厳つく、青竜刀のように左右に平たいためだ。Linnaeus
Carl von Linné(カール・フォン・リンネ 1707-1778 スウェーデン)。二名法を確立。地方名・市場名
生息域
海水魚。沿岸や沖合の表層域。
北海道全沿岸〜九州南岸の日本海・東シナ海・太平洋沿岸、瀬戸内海水道部、屋久島、トカラ列島、琉球列島、南大東島、八丈島、小笠原諸島。
千島列島南部沖の太平洋、オホーツク海、間宮海峡〜沿海州南部、朝鮮半島南岸・東岸、遼寧省〜広東省の中国沿岸、台湾、インド-太平洋全域、北緯50度〜南緯40度までの大西洋。生態
産卵は春から盛夏。
孵化した稚魚は流れ藻などにつく。稚魚期には小型の甲殻類。仔魚期には小魚。成魚になると魚を捕食する。
成長は満1歳で38センチ、2歳で68センチ、3歳で90センチ、4歳で1メートルを超え、4歳で1.5メートルになる。
水深20メートルより浅いところを回遊する。基本情報
世界中の暖かい海域にいる大型魚。世界中の熱帯域・亜熱帯域・温帯域でとれ、多くの国で食用となっている。例えばアメリカハワイなどでの食べ方が、国内に入ってくるなど新しい食文化も見られる。
国内では春から夏に生まれた稚魚は日本列島周辺を回遊しながら大きくなる。国内16、17世紀に日本海で鱪づけ漁が始まり、古くから夏の魚の代表的なものである。この日本海でとれたシイラがなんらかの防腐処理をされて山岳地帯にまで送られていたのだ。冬の鱈、夏の鱪(シイラ)という地域も少なくない。実際今でも長野県や広島県、岡山県などの山間部には本種が多く送られ、消費されている。当然、長野県、岡山県、広島県など。食用としても重要だし、祭事や雑節などでの食文化も重要だと思っている。
海辺の町としては、日本海では新潟県でよく食べられていたが、近年北上傾向にある。また四国では高知県など太平洋に面した地域では盛んに食べている。
逆に東京都を始め関東や関西では一般的食用魚ではあるが、目立った存在ではない。
大型で嫌みのない白身、しかもまとまってとれるので安いのも魅力だ。水産基本情報
市場での評価 夏から秋には入荷の多い魚。ただし関東ではあまり食べられていない。値段も安く手軽な総菜魚。主に切り身でスーパーや魚屋に並ぶ。これが新潟、山形などでは刺身などで珍重される。また中国地方の山間部では刺身、惣菜などでよく食べられている。
漁法 シイラ漬け漁/定置網/巻き網
シイラ漬け漁は流れ藻や流木につく性質を利用してたもの。モウソウチクを束ねて沖合に設置する。ここに小魚などがつき、シイラが集まる。これを巻き網で漁獲するもの。
シイラの鮮度保持は意外に難しく、漁獲時の状況により、筋肉内に乳酸がたまりpH(ペーハー)が低くなる。すると身質がもろくなり、味に悪影響を及ぼす。(島根県水産試験場)選び方
触って硬いもの。鰓が赤いもの。味わい
旬は秋から冬 抱卵したもの、産卵後はまずい。
鱗は小さくて取りやすい。皮は厚くて丈夫。骨はあまり硬くない。
血合いは弱い。熱を通しても硬く締まらず、身離れがいい。
料理の方向性くせのない白身でほどよく繊維質。煮ても焼いても、揚げても、生で食べても及第点の味である。
赤みがかった白身ではあるがサバのようにヒスチジンの含有量が多い。鮮度管理が悪いとヒスタミンを生成してしまうので要注意。ヒスタミンは加熱しても分解しないのでやっかいである。栄養
ー危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
シイラの料理法・調理法・食べ方/生食(刺身、カルパッチョ、セビチェ)、ソテー(ムニエル、フライパン照り焼き)、揚げる(フィッシュ&チップス、フライ、唐揚げ)、煮る(煮つけ、ポシェ、真子煮つけ)、汁(みそ汁)、焼く(幽庵焼き、粕漬け、塩焼き)クリックで閉じますシイラの刺身
シイラの刺身 秋のシイラの刺身。透明感がないのは脂がのっているため。うま味、甘味豊かで美味しい。透明感のあるものよりも鈍色の方がうまい。ブリに似ているが、酸味は少なく、優しい味をしている。イヤミがない。
シイラのカルパッチョ 三枚に下ろして皮を引き、できるだけ薄切りにする。皿ににんにくの切り口をなすりつけ、オリーブオイルをかけ回す。ここにシイラの薄切りを乗せていく。並べ終わったらスプーンなどでたたいて馴染ませる。ここまでがカルパッチョに基本であとはすべて自由。ここではたたきつぶしたトマトとアボカドを載せてレモン汁を振り、上からもオリーブオイルをかけた。市販のジェノベーゼを使ったり、サルサソースを使うともっと簡単。クリックで閉じますシイラのカルパッチョ
シイラの焼霜造り 腹側の比較的皮の薄い分をあぶって切りつけたもの。単に刺身にしてもおいしいが、もうひとつ曲がない味。これを皮目をあぶることで、香ばしさや皮のうま味をプラスしてみた。クリックで閉じますシイラの焼霜造り
シイラのムニエル フレンチのムニエルではなくアメリカンに彩り豊かに作ってみた。ムニエル+サラダという感じ。「シイラのムニエル」ではなく、「マヒマヒのムニエル」かも。シイラは三枚に下ろして、皮を引く。塩コショウして小麦粉をまぶしてじっくり油でソテー、仕上げにバターで風味づけする。クリックで閉じますマヒマヒのムニエル
シイラのフライパン照焼 三枚に下ろして、切り身にする。小麦粉をまぶして油でソテー。こんがりとソテーできらた身は取り出し、プライパンにみりん、酒、砂糖(砂糖を使うならみりんは不要)を合わせて少し煮つめ、そこに切り身を戻してからめる。ご飯のおかずに非常にいい。クリックで閉じますシイラのフライパン照焼
シイラのフライ シイラは非常に上質の白身できめ細かく熱を通しても硬く締まらない。三枚に下ろして皮を引く、塩コショウして小麦粉をまぶして、卵黄にくぐらせてパン粉をつけて揚げる。さくっとあがり、中はジューシーで甘味がある。クリックで閉じますマヒマヒのフライ
シイラのフィッシュ&チップス 水洗いして、三枚に下ろして皮を引き、適宜に切る。塩コショウして、衣をつけて揚げる。衣は小麦粉、卵黄、ビールを合わせたもの。揚げたジャガイモと一緒に盛る。真ん中にあるのはモルトビネガー。クリックで閉じますマヒマヒのフィッシュ&チップス
シイラの揚げびたし そばつゆ(市販でも十分)を作る。みりんとしょうゆを半々に合わせ、砂糖を加えて加減して少し煮つめる。1ヶ月ほど寝かせてもいい。水にソウダの厚削りを入れてコトコトにて、仕上げにサバ節けずりを加えて火を止める。これをこして調味料と合わせる。シイラは切り身にして片栗粉(小麦粉でも可)をまぶして揚げてそばつゆにつけ込む。野菜も同様にして漬け込む。甘長唐辛子は炙っている。クリックで閉じますシイラの揚げびたし
シイラのポシェ クールブイヨンでポシェ(ゆでた)したもの。シイラは三枚に下ろして皮を引く、市販のハーブブイヨン(クールブイヨン)を溶いた湯でゆでる。そのまま鍋止めしておく。保存する場合にはゆで汁と一緒に。これをマヨネーズで和えてパンに乗せたり、サラダに添えて出す。必ず煮汁を生かすべきだ。クリックで閉じますシイラのポシェ
シイラの煮つけ あらを煮つけにする。かまや中骨などは湯通しして、冷水に取り滑りやよごれを取る。水をよく切り、しょうゆ、みりん、砂糖(みりんを使う場合には不要。同様に砂糖を使う場合にはみりんは不要)、水を合わせて煮る。鮮度が悪いと濃いめの味つけに、新しいものはあっさりと煮る。クリックで閉じますシイラのあら煮
シイラのみそ汁 水洗いして刺身や塩焼きを作り、出たあらを使ってみそ汁にした。あらは一度湯通しして、冷水に落とし、汚れや滑りなどを取る。よく水を切り、昆布だし(水で可)で煮だしてみそを溶く。季節の野菜を加えるとごちそうになる。クリックで閉じますシイラのみそ汁
シイラのかまの塩焼き 大型のもののかま(胸鰭の周辺)に振り塩をする。半日ほど寝かせて、じっくりと長時間かけて焼き上げる。ワイルドに手づかみで食べるものだが、思った以上に身が多く、強いうま味と甘味が楽しめる。クリックで閉じますシイラのかま焼き
好んで食べる地域・名物料理
加工品・名産品
釣り情報
海でのルアー釣り、トローリングなどでの対象魚。
餌でも釣れるが、小型が多い。歴史・ことわざ・雑学など
参考文献・協力
協力/阿部鮮魚店(山形県酒田市)、石田拓治さん(長崎県長崎市)、田中水産(鹿児島県鹿児島市)、陳信州さん
『新釈 魚名考』栄川省造 青銅企画出版)、『島根のさかな』(島根県水産試験場編著 山陰中央新聞社)、『日本漁具・漁法図説』(金田禎之 成山堂)、『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『名越左源太の見た幕末奄美の食と菓子』(今村規子 南方新社 2010)地方名・市場名 ?