いまいゆのバター焼き
アメリカの影響で素揚げからソテーへ
パラオの主婦のお昼ご飯のおかず
熱帯域で揚がる魚のもっとも一般的な料理法は素揚げである。国内でのように片栗粉や小麦粉を使って揚げることはなく、塩コショウするだけで揚げて、柑橘類などをふって食べている。主食はタロイモやキャッサバなどだ。
沖縄県の浅海で揚がる魚は基本的にたんぱくな白身魚であることが多い。沖縄の競り場などに来ていた方達に聞く限り、この淡泊さを補うために沖縄県でも揚げることが多かったようだ。今でもウミンチュ(潜水漁師)などは魚を素揚げにしてよく食べるようだ。
1945年の敗戦後に生まれた沖縄の郷土料理
ホリデーマーガリン
そこに1945年の敗戦後にやってきたアメリカ軍がアメリカ製のマーガリンを配給した(?)、もしくは安く出回った。これを使って作られたのが沖縄県の郷土料理となっている「バター焼き」だ。
バターは使わないのになぜ、「バター焼き」なのかは不明だが、沖縄県以外でもパンにバターを塗るといいながらマーガリンだったりする。高いバターを日常的に使う習慣がなく、いつの間にか、マーガリン=バターになったのではないか。
うるま市や那覇市の農連市場で会ったお年寄りに聞くと、敗戦後にやってきたバターやスパムなどは、家庭料理を大きく変えたという。
使う魚は比較的安い若魚や小型魚
沖縄の漁港の競り場ではビタローと呼ばれる小型のフエダイ科の魚、シモフリフエフキやイソフエフキの若い個体などをひとまとめにして競りにかけている。
ここにイトヨリダイ科タマガシラ類、タカサゴ科なども加わる。高級魚であるナミフエダイやフエダイなどの若い個体も混ざっていることがある。
この多種類混ざったものはとても安い。沖縄を代表する総菜魚たちでもある。
そして代表的なバター焼きの魚たちだ。
ちなみにバター焼きの魚はもっと多様である可能性が高い。本部町では切り身で作っていたというし、小型の個体なら種は問わないのかも知れない。これなどもこれからの課題。