1m SL 前後になる。細長く、口は嘴状。背鰭は24-27軟条(オキザヨリは21-24)。尾柄部に隆起線がある。鰓蓋骨前部に青黒い横帯がない。上顎後方の犬歯は垂直に並ぶ(60cm TL 以下のオキザヨリは前方に湾曲する)。
テンジクダツの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)



-
珍魚度・珍しさ
★★★
がんばって探せば手に入る魚貝の物知り度
★★★★★
知っていたら学者級食べ物としての重要度
★★
地域的、嗜好品的なもの味の評価度
★★★★
非常に美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱真鰭区正真骨下区棘鰭上目スメグマモルフ系ボラ亜系ダツ目ダツ科テンジクダツ属外国名
学名
Tylosurus melanotus (Bleeker, 1850)漢字・学名由来
漢字 天竺駄津、天竺喙長魚 Standard Japanese name / Tenjikudatu
由来・語源 神奈川県江ノ島での呼び名。南方系のダツの意味か?
〈ダツ科ダツ屬 テンジクダツ Tylosurus melanotus (BLEEKER)〉『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)
Tylosurus acus melanotus (Bleeker, 1851)→Tylosurus melanotus (Bleeker, 1850) /WoRMSBleeker
Pieter Bleeker(ピーター・ブリーカー 1819-1878 オランダ)。医師、魚類学者。『東インドオランダ領の魚類図鑑』(Atlas Ichtyologique des Indes Orientales Netherlandaises 1862-1878)。軍医としてバタビア(現インドネシアジャカルタ)に赴任。インド洋、西太平洋の魚を採取。地方名・市場名
生息域
海水魚。沿岸の表層域。
青森県八戸、[宮城県気仙沼]、鹿島灘、新潟県、佐渡〜九州南岸の日本海・東シナ海、相模湾〜九州南岸の太平洋沿岸。
インド-太平洋の熱帯〜温帯域。生態
ー基本情報
本州以南に生息する大型のダツである。ダツ目ダツ科の魚の特徴である大きな口と鋭い歯があるので、不用意に触るとあぶない。ダイビングや潜水漁のときに向かってきて細い口が刺さるなどするので非常に危険である。
本来は鹿児島県島嶼部などでよく食べられていた魚であるが、近年温暖化で北上傾向にあり、漁獲量が増えている。
また国内で見られるダツ目ダツ科の大型種はオキザヨリ、テンジクダツ、ハマダツ、ダツの4種だが本種も含む前2種が流通量が多い。
徐々に流通上も普通の魚となりつつある。
珍魚度 一般的な食用魚である。流通量も増えているので探せば手に入る。水産基本情報
市場での評価 一般に流通しない
漁法 定置網
主な産地選び方
大きい方が料理しやすいし、味がいい。銀色に輝いて、きれいなもの。鰓が鮮紅色のもの。味わい
栄養
ー危険性など
歯が鋭い。食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
テンジクダツの料理・レシピ・食べ方/生食(刺身、セビチェ)、焼く(塩焼き)、煮る(煮つけ)、揚げる(フィッシュ&ティップス、唐揚げ)、汁(みそ汁、潮汁)クリックで閉じます
テンジクダツの刺身 後半部分には小骨がなく、三枚に下ろして皮を引くと刺身は造りやすい。夏の固体は脂があり、柔らかい。背の青い魚ならではの強いうま味とほどよい酸味があって非常に美味。わさびよりもしょうがの方が合う。づけにしてもいい。
水洗いして三枚に下ろす。腹骨周りを大きく取り去り、血合い骨を取る。皮を引いて刺身にする。
テンジクダツのなめろう(みそたたき) みそや野菜と一緒に叩いたものなのに、しっかり本種の背の青い魚の風味がある。味の多様性と嵩が大きい。今回は酢をかけ回して、千葉県外房風にしてみた。クリックで閉じます
腹骨が強く、血合いにも強い骨がある前半部分の背を使った。三枚に下ろして背を切り取り、皮を引き細かく切る。みそ・大葉・青唐辛子・にんにくを合わせて切れる包丁でたたく。テンジクダツのセビチェ 小骨がなく、血合いに微かな酸味があるものの脂から来る甘味は少ない。このような魚は柑橘類と塩でマリネーするとぐんと味がよくなる。スピリッツに合う。クリックで閉じます
皮を引いた身は細かく切り、ライムと塩で締める。少し置き、仕上げに紫玉ねぎ、辛い青唐辛子と和える。辛いのが好きなら最初から唐辛子を加えるといい。テンジクダツのフライ 背の青い魚のおいしさと、白身魚の上品さを併せ持つ。揚げるとふんわり柔らかく、甘味がある。クリックで閉じます
水洗いして後半の骨が少ない部分を切り身にする。血合い骨を抜いて塩コショウする。小麦粉をまぶし、溶き卵に潜らせパン粉をつけて揚げる。テンジクダツの唐揚げ 小骨の多いところをじっくり長時間かけて二度揚げしたもので、骨ごとさくっと食べることができる。背の青い魚の豊かなうま味が楽しめる。クリックで閉じます
水洗いして前半部分の、骨の多い内臓を包む部分を切り取る。片栗粉をまぶして少し置き、じっくり長時間かけて二度揚げする。テンジクダツのフィッシュ&ティップス 青い背の魚特有の味で、うま味が濃い。モルトビネガーをかけて食べる。クリックで閉じます
三枚に下ろして手手方向の細長く切る。水分をよくきり、小麦粉をまぶす。小麦粉、塩コショウを合わせたものをビールで衣を作る。これにジャガイモ、テンジクダツをまとわせてやや強火で揚げる。テンジクダツの塩焼き 焼き上がりの香りがいい。典型的な青魚の味と思うと分かりやすいかも知れない。ただしサバ類のような脂ののりは規定できない。あっさりして後味が軽い。肝の味が非常に濃厚でうまい。クリックで閉じます
水洗いして適当に切る。肝があるのではらわたのある部分に振り塩する。1時間ほど寝かせてじっくりと焼き上げる。テンジクダツの煮つけ うま味豊かな魚で、しょうゆで味つけした身自体の味もさることながら、煮汁のうまさにも驚くはず。適宜に切り、皮が破裂しないように切れ目を入れる。湯通しして冷水に落として残った鱗やぬめりを流す。これを酒、砂糖、しょうゆの味つけで煮る。甘い方がご飯に合うが、酒、塩などさっぱりした味つけもいい。クリックで閉じますテンジクダツの真子煮 夏の真子は成熟度にもよるがほくほくとして甘味がある。硬くなくてたやすく噛むことができる。独特の食感でとてもおいしい。クリックで閉じます
水洗いして真子を取り出す。煮つけやすい大きさに切る。これを酒・砂糖・醤油・水を沸騰させた中で煮る。好んで食べる地域・名物料理
ー加工品・名産品
ー釣り情報
ー歴史・ことわざ・雑学など
ー参考文献・協力
『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『原色魚類大図鑑』(安倍宗明 北隆館)