銭州のサメのおこぼれマダイを食べる 3、釣り鐘の潮汁
昆布と酒だけでことことことこと煮て作り出した味
天然羅臼昆布のだしで、ことことと30分ほど煮たものなので、腹鰭を持って引っ張るとバラバラになる。
ほぐれた身と皮とを濃厚かつ上品なだしと一緒に食べる。
腹鰭の後ろなどをしゃぶっているとサメとチューしているみたいで、なんとも不思議だ。
平凡な料理なのにというか、平凡な料理だからこそ生まれる味わいなのだと思っている。
面白いもので長時間煮だしているので皮など舌の上でとろりと溶ける。
そのとろける舌の感覚が呈味成分とは関係なく甘く感じる。
このおいしさは文字に出来ない。
潮汁はていねいに作ると、御馳走だ、ということがわかる。
これで清酒を正一合と行きたいが、昼間なので凍頂烏龍茶。
おいしい潮汁を作るのには、腹鰭まわりだけで充分
八王子綜合卸売協同組合、舵丸水産、クマゴロウが銭州で、やったー! 釣れた、と思ったらサメにがぶり、とやられたタイではなく、これぞまさしく半タイである。
半タイなのに重さ3㎏弱もある。いったいどないな大きさやねん、と思わないではいられない。
それにしてもサメだってかなりドでかいに違いない、が種類は不明だ。
釣り師の天敵、サメのおこぼれをいただいて、喜んでいるボクもへんだけど、これをうれしそうに持って帰ってくるクマゴロウだって変だ。
変だけどありがとう!
兜だけなのにひと抱えもある。
以上は前前前前回書いた。
腹鰭周りを料理の流派では釣り鐘と呼ぶらしい。
ここではそれを頂いて、サメに噛まれた際を切り捨てて少し成形する。
湯通しして冷水に落とし鱗やぬめりを流し水分をきる。
これを羅臼昆布を1日漬け込んだだしで煮出す。
今回は酒を入れて沸いてきて、ことことと30分。
仕上げに塩味をつける。
吸口にかぼす、薬味は粗挽き黒コショウ。