コラム

小田原産活け締めアイゴで作るヤのやっぎ

刺身よりも食感が強いので、噛んで楽しむ料理だ


これが三度目の「やっぎ」だ。漢字にすると「焼切」で、日本各地で作られている「焼き切り(焼き切れ)」と同じだ。
前々回は市場流通してきたものを、買って2日目に作ったが、弾力がなく皮目の香ばしさが感じられなかった。
これを小田原の活け締めで作ったら想像だにできなかった、まるで別物の料理となる。
鹿児島県南さつま市笠沙周辺の郷土料理なので、当地でも、当然とれたばかりを料理しているはずなのだだ。だから人気があるのだろう。
あえて言うと、とれたて、もしくはとれて翌日くらいのものを使ってを作らないと、作れないということがわかったことになる。
今回のものは神奈川県小田原市、小田原魚市場、二宮定置で活け締めしていただいたもので、当日、夜に作ったのが「やっぎ」だ。
口に含んだ途端、焼いた香りが口中に広がる。
これが「やっぎ」の真骨頂だのだとわかる。
アイゴの皮周辺の濃厚なうま味と、噛むとじわりと染み出てくる脂など他に類をみない。
考えてみると「やっぎ」は噛む料理なのだなとわかってくる。
漁師さんが輪になって食べるとき、口中にある時間が長い、それもいいところだろう。
ちなみに普通の濃口醤油とわさびで食べたが、鹿児島の甘い醤油の方がよかったやも知れない。
合わせたのは、ジンハイボールだ。

活け締めにしたら、まずは刺身だけれどあえて「やっぎ」を


8月26日、二宮定置は大漁だった。種類も多く、今の時季、なくてはならないメイチダイもたっぷりとれていた。
こんなたいへんなときに、ボクのためにわざわざアイゴを活かして置いてくれた。
しかも締めたのは名人、カイくんである。
ちなみに持ち帰って下ろしていると身が盛り上がってきた。
刺身にすると食感が強いというか3日先まで食べられた。
さて、背鰭・腹鰭・臀鰭を切り取り、皮つきのまま三枚に下ろす。
鱗を取る必要がないのでとても扱いやすい。
皮をあぶって氷水に落とす。
皮のまま刺身状に切る。
二宮定置のみなさん、Kai’s Kitchenのカイくん、ありがとうございました。
協力/伊東正英さん(鹿児島県南さつま市笠沙)


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