相模湾イワシの、第一陣は脂ほどよし
個人的にはいちばん好きな脂の乗り具合だ
俳句の季語歳時記はもともとは京都を中心に綴られていた。それを江戸に移し替えたのは曲亭馬琴である。以後、様々な季語歳時記があるがいずれにしても江戸、上方は大阪・京都中心の話である。
ちなみに入梅鰯という言語が符合するのは、関東・関西などでの、しかも非常に大雑把な話でしかない。
この地域では秋(現在の8月初旬から)に旬を迎えるので、6月初旬にはそろそろマイワシのいい時季が始まりますよ、という意味だ。
暦の上での2024年の入梅は6月10日前後だが、実際の関東での入梅は6月24日である。そして写真の刺身は7月12日なので、本来、梅雨明けしていなければならない。
入梅鰯など江戸のこと、と思いながら梅雨最中の鰯の刺身を食べている。小羽ではあるが脂がのっていてわずかに口溶け感があり、甘く感じる。
これで食べる白飯がすすむ、すすむ。
やはりうま味成分や脂から感じられる甘味(感覚的なもの)と、米の糖分は非常に合う。
相模湾二宮沖のマイワシは、旬の走りを迎えていることは間違いない。
面白いもので、これから相模湾のマイワシが食べ頃だぞ、と思っていさんで小田原に行ったら、群れがいなくなっていたりすることが多い。
思い通りには行かぬ、何事もなのだ。
第一陣、第二陣とイワシはやってくる
神奈川県小田原魚市場二宮定置はそのときマイワシがまとまって入っていた。同じ小田原でも伊豆半島側ではヤマトカマスが多かったり、ウルメばかりであったり、と場所が違えば主流となる魚が違うのだから面白い。
前回も書いたが二宮沖のマイワシは体長15.cm・120g前後と体長13cm・55g前後の2群であった。刺身にしたのは前者であるのは言うまでもない。
作り方は書くまでもない。
ざっと流水で洗い、水分を切る。
頭を落とし、内臓を出し、手開きにする。
皮を剥き、片身にして腹骨と気になる小骨を取る。
このサイズで脂の乗ったものの小骨はあまり気にならない。
返す返すも二宮定置のみなさん、また相模湾のマイワシ談義に参加して頂いた小田原魚市場場内にいた方々に感謝。