根室酔いどれ日記 3 居酒屋おせろは変な名だけどうまい店だった
湿地帯での疲れを銭湯で癒やし。いざアルコールを浴びに
根室3日目(6月25日)で、疲れが脚に来た。東梅という地区に行ったついでに水辺を見つけて、不用意に踏み込んだのが大間違いだった。出てこれなくなった。
前日この地域でクマが目撃されている。あり得ないとは思ったけど、こんな状態でクマとご対面したらドナイショ、なんて不安がよぎった。
こんなときに限って面白い生き物や植物が目に入るが、撮影する余裕もない。
1時間近く(もっと短かったとは思うけど)かかって脱出できたが、胴長は2倍の重さになっていた。
このとき、胴長ではなく長靴で入っていたらと想像すると恐くなる。
夕方、根室市街地に帰り着き、銭湯の湯につかったときの極楽感は例えようもない。
クリカラモンモンのオニイサンにおすすめの居酒屋を聞いたが、家に来いと言われた。
もちろん遠慮して逃げた。
疲れ果てると余計にアルコールが欲しくなる。
風呂上がりに居酒屋を探して歩く。
根室の夕暮れはあっと言う間に闇となる。雨がやんだのはありがたかったが、やたらに寒い。
居酒屋を目指しながら野良犬同然のエゾジカを探すがいない。たぶんエゾジカも寒いんだろうな。
イラコアナゴの産地のハモはイラコアナゴだ
最初に見つけた居酒屋は「おせろ」という名だった。まさかシェークスピアかしら。
2日連続で底なし沼にはまっているので、疲れが脚に来ている。
どうでもいい気になって入ったら正解だった。
第一、感じがいい。
つきだしは「はもの落とし」だった。
これはハモではなく、根室で「黒はも」と呼ばれるイラコアナゴで、上手に骨切りしていてうまい。
生まれて初めて飲むピンク色の飲み物も正解だった
一杯目の生ビールを一気飲み。
すすめられるままに「コダマバイスサワー」という不思議な名前の飲み物をお願いする。
それはまさかのピンク色でちょっと酸っぱいけどおいしい。
疲れの大波が細波となる。
産地で食べても「ほっき」は「ほっき」だ
せっかくなので「ほっき刺身(ウバガイ)」、北海道ならではの「たこざんぎ(ミズダコとみた)」と、根室に来たのだから食べなきゃ的なものをお願いする。
「ほっき刺身」は珍しくもなく普通においしいだけ、だった。
家で食べるのと比べて取り立ててうまいわけではなく、ただただ、「ほっき」の産地で食べる「ほっき刺身」に意味を見つけるだけだった。
タコのざんぎがこんなにおいしいとは思わなかった
意外にも「たこざんぎ」がうまい。
「ざんぎ」は北海道では唐揚げのこと。
かりっと香ばしく、軟体類ならではのニョゴニョゴした食感が面白い。
根室に来たら、「たこざんぎ」かも。
ついでに焼き鳥でもとおまかせでお願いしたら豚肉だった。
これは室蘭でも同じで、北海道では豚肉の正肉を串に刺して焼いたものが焼き鳥の基本なのだ。
たれがとてもおいしいので、もっと炭酸ものが欲しくなったが明日の朝を考えて諦める。
北の酒場に来たら日本酒だと思う
時鮭の筋子はひょっとしたらボクにとって初物かも
肴は時鮭(ときしらずとも、サケの未成熟なもの)の筋子をお願いする。
未成熟なサケの卵巣なので卵粒が細かくねっとりしている。
本来は大陸、ロシアの河川で産卵するはずのサケの筋子のうまさにビックリしたな、もー、なのだ。
意外にボクにとっては初ものかも知れない。