料理法・レシピ

ムツの塩焼きでピラフらしきを作る

ムツの塩焼きは黄金の味

ムツの塩焼き

毎日、若いムツ科の魚とにらめっこしている。その数、12個体で、分解したりしているので、もったいないがそのまま捨ててしまうこともある。
捨てないにしても食べきれないので、保存性を考えて、やや強めに塩をして焼いては冷凍保存する。
ムツ科の魚は何種類か? その姿形の違いはどこにあるのか? こんなことを魚類学者は100年以上にわたって議論している。DNAで調べてみると国内には3種類いることはわかっているが、それでは見た目でどのように区別するべきなのかがわからないのだ。
当たり前だが、ボクはまるでドンキホーテのごとき、である。
塩焼きを解凍しては焼き直して食べる。小ムツの塩焼きは飽きの来ない味なので、ずくめでも一向に苦痛を感じない。
むしろ毎日1尾くらいずーっと食べていたいくらいだ。

たまには変化球で炊き込みご飯

ムツのピラフ

ただ塩焼きばっかりでは芸がない。いろいろ考えた挙げ句、ピラフを作ってみた。だいたいピラフのなんたるかがわからないので洋風炊き込みご飯と言った方がいいのかも知れない。
ボクのように東京タワーより年上世代は、初めて食べた洋食をちゃんと記憶している。初めてカレーを食べたのは4歳のときで写真があるはず。ピザを食べたのは中学2年生のときで、ピラフは確かその1年くらい前だと思うけど、いずれにしろ1970年前後のことだ。
ピラフはNHK『今日の料理』大好きな子供だったので、知っていたが徳島県の、しかも山の中で生まれたので、このようなハイカラなものの初食いはやけに遅かった。
チキンコンソメで炊飯の水加減をして、エビとかハムと炒めた玉ねぎと一緒に炊き込むだけだったと思う。炊いたご飯を炒めるのが「焼き飯」で、ピラフは炊き込みご飯の西洋版。昔、新宿に炒めて作るのにピラフという喫茶店があったが、邪道だと思ったものだ。
ムツの塩焼きで作るピラフ的な炊き込みご飯は玉ねぎを炒めていないし、チキンコンソメではなくハーブブイヨンを使ったので、ピラフ擬かも知れぬ。
ムツの塩焼きは中骨や小骨を取り去っておく。
ハーブブイヨンを溶かし込んだ水と少量の塩で炊飯の用意。
ら・し・くするために粗挽きコショウ、メースリーフ(ナツメッグの皮の部分)、ディルの茎を香りづけに使う。
オリーブオイルを加えて軽く混ぜて炊飯する。
ちなみに濃厚な味が好きならバターを追加するといい。
炊き上がったら、軽く混ぜて皿に盛る。

ワインがなくてもうんとうまい


つけ合わせはシマウマナスのフリットとレタス。
年齢的に油っぽいのは苦手なので、メースリーフの爽やかな香りのする、どこかしら東南アジアを感じる、軽い味に仕上げる。
この独特のエスニックな味わいの飯が、やたらに一升瓶ワインに合うのだが、酒を控えているので、凍頂烏龍茶で昼ご飯にする。
自慢になってしまうが、峠の釜めしの一釜が少なく感じるほどの味なのだ。


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