小ガツオの揚げたたたきを久しぶりに造る
我が家での小ガツオ料理の定番中の定番

神奈川県小田原などの船宿で、釣り客が一人っきりのときやれた釣り方にカッタクリがある。イナダ、しよっこ(汐っこ・カンパチの若魚)などを狙うのだけど、希に「かきのたね(カツオの幼魚)」や、1キロ前後のカツオやキハダマグロの子が釣れた。
明治生まれの船頭に、「こんだらもん、イナダの方がうまいだ」なんて言われながらも釣り上げて喜んでいたときは、また釣り味を尊んでいたんだと思う。ボクの場合、釣り初心者のときは釣り味を楽しみ、その内、魚の味の方が楽しみとなる。
この「かきのたね」や小ガツオで当時作り始めたのが「揚げたたき」である。非常に単純な料理なので、だれでも考えつくはず。到底、ボクのオリジナルなどとハレンチなことは言えないけど、なぜ、こんな料理を作ろうと思ったのか?
最近、読み直している8インチフロッピーの過去のテキストを見ていて、学生時代の失敗からかも知れないと思い至る。
同級生が集まってワイワイガヤガヤ料理を作っていたとき、刺身にするはずのカツオの4分の1を、そのまま天ぷらの鍋に投げ込んだ男がいたのだ。たぶん酔っ払っていたに違いないけど、まだ食い盛りの学生なので、その素揚げのカツオに醤油をつけて一気食いしているのである。失敗作だけど、とてもおいしかったのだ。
仕事を始め、船釣りを初めて、この記憶がどこかしら頭に残っていたことからの、「揚げたたき」だと考え始めている。
以来、40年近く脂のない小ガツオがあると必ず「揚げたたき」を造っている。
さて、八王子総合卸売協同組合、マル幸にあったのは神奈川県佐島産の小ガツオ(全長43.5cm・1.341kg)だ。
臨機応変あるものだけで作る

カツオたたきのタレ
帰宅して測定して撮影。半身は生ぶしにして、半身を「揚げたたき」にする。
水洗いして三枚に下ろしたら血合いを取り、背と腹に分ける。(下ろしていたら意外にも身がしっとりとして脂の気配が感じ取れた。刺身でもよかったかも)
たれを作る。
いつも臨機応変、あるもので作るのだけど、今回は桃屋のきざみにんにく・甘味のある京都府京丹後市サカチョウの合わせ酢・煮切りみりん・しょうゆ・ゆず。