シッタカはシッタカでしかない、オオコシダカガンガラの話
オオコシダカガンガラはコシダカガンガラよりものっぽ

オオコシダカガンガラ
魚のことを話していて、この人よくわかっているな、という人でも貝類に関しては幼稚園というか未就学児童程度なんだとビックリすることがある。わかるのはサザエ、アサリ?、ハマグリ?、ハマグリ?、ホッキガイ(ウバガイ)、ホタテガイ程度で、アサリがアサリであることがわからなかったことすらあって唖然としたことがある。
ましてや「シッタカ」は、ただただ「シッタカ」でしかない。東京都豊洲市場には貝屋(貝専門店)が多く、もともとは貝屋だったという仲卸も多い。それでも「シッタカ」は「シッタカ」でしかないのだ。ちなみに「シッタカ」は本来関東でのバテイラの呼び名である。
昔、秋田県の漁師さんが、こんなもの売れますかと築地の大卸に持って来たのも、「シッタカ」だったが、これは典型的な日本海の「シッタカ」で、標準和名をオオコシダカガンガラという。
東京都内で「シッタカ」として扱われたことがあるのはバテイラ、コシダカガンガラ、オオコシダカガンガラ、ヒメクボガイ、クボガイ、ヘソアキクボガイの6種だ。
バテイラがいちばん高く、あとはほとんど値段は変わらないが、やや高値となっている。どれもがそこそこの値段で売られているのは、磯の巻き貝類が減少したためと、とる人がいなくなっているためだ。
漁村の成り立ち(生活環)とは、子供の頃には老人と磯(近場)で魚介類を採取し、若いときには沖に出る。様々な漁を経験してふたたび磯に戻るのだと思っている。その循環がなくなっているのだ。この循環を破壊したのは、戦後の水産バブル経済(ボクの造語)によると思っているがここでは語らない。
そのコシダカガンガラは太平洋側に多く、日本海側には少ない。日本海にはコシダカガンガラはあまりいない代わりに、オオコシダカガンガラが多い。長崎県以北の産地から来る「シッタカ」はオオコシダカガンガラがほとんどで希にコシダカガンガラが来るといった感じだ。
コシダカガンガラもオオコシダカガンガラも味は変わらない

コシダカガンガラ
さて、今回のオオコシダカガンガラは産地不明だった。我が家には魚を大量に抱えていたにもかかわらず、一握りだけ購入する。なんと中にコシダカガンガラが混ざっていた。こんな事を喜ぶ人間などはめったにいない気もするがうれしい。
味はバレイラ科はあまり変わらない、もっとも一般的な「シッタカ」であるバテイラがいちばんおいしいとは思う。身が取り出しやすく、火を通しても硬く締まらない。あとは味的にはそんなに変わらない。みなおしなべてうまい。
オオコシダカガンガラは日本海側のシッタカといってもいい巻き貝だが、こちらも実にうまい。