3月17日 アカガイのわた煮
日本酒を飲むためだけの肴
ディスクで眠りこけて朝だと思ったら、午後10時だった。旅のあとで生活が、夢も希望もないほどに乱れている。
寝起きの頭痛をコンコンと頭から追い出しながら、軽く酒でも飲み、寝直すしかないなんて思案する。
重すぎる身をやっとこさ立ち上がらせて、食べ物を探す。朝、昼ともどもにたくさんたくさん作った料理があるものの、手頃な肴がない。
冷凍庫をあさると、どす赤い血の塊のようなものがあった。2月、豊洲や八王子で買った宮城県閖上産、山口県産、中国産のアカガイの肝膵臓(わた)だ。流水解凍してペーパータオルに並べると12個ある。
中国産のわたは当たり前だが小さく、閖上産のはやたらにでかい。値段は倍なのでわたの大きさも倍となるのかな? なんてぼやけた頭で考える。
鍋にみりん・酒・醤油を煮立てて水分をよくきったわたを放り込む。しょうがのせん切りを加えて絡めるように短時間で煮上げる。
甘め好きなのでみりん足しながら、味加減する。
煮上がりにバットに並べるとてりが出るが、そんなことはしない。
鍋止めして、その間に風呂に入る。
4、5粒小皿に取り、酒を飲む。わたの渋味、渋味、そして複雑な呈味成分をぬる燗で洗う。
酒は菊正宗の樽酒でたんぽ正一合。
「たんぽ」は槍のたんぽから来ているのかな? とか、昨日は春爛漫だったのに、温度計は昼間と同じく18度しかないとか、いろいろ思いながら小一時間過ごす。