クロダイのカルパッチョは一枚の絵なのだ
ボクの描く皿の上の絵はいつもいつもシンプルである

初めて魚のカルパッチョを食べたのは、昔々その昔である。
サッカー人気が話題になっていたときなので、ほんまに昔だろう。
そのときのものは魚の生の切り身を皿に並べて、上に彩りよく香りのある野菜やハーブを並べてお絵かきをするといったもの。
ものすごくにんにくがきいていて、テーブルの上で追いオリーブオイルをかけてくれた。
以来、そのときに何軒か回った店のスタイルに従っている。
ボクの作るカルパッチョは、クロダイの身を皿に馴染ませた状態など、絵描きがカンバスを張るようなものかも。
その上に神奈川県秦野市で買った種なし赤ピーマンと、フルーツトマト、タイムを散らしてみた。
あるだけの材料なので、とてもシンプルなものとなる。
締めて3日目のクロダイの、端切れを集めて薄く切ったのでエレガントではない。
今回は夏泳いだ後のような、疲れの波を受けていたのでどっさりとにんにくを使った。
仕上げに追いオリーブオイルではなくライムを搾る。
ちょっとだけ味は野性的である。
甘い素材は今回はなし、あるときはキウイ、季節によってはラズベリーなどを使う。
ただ塩とオリーブオイルとにんにくと、白コショウだけの味つけで、うま味たっぷりの3日目の、クロダイの味をそのまま堪能出来てあまりある。
ちょっと濃い味だなというところを、ライムの酸味とタイムの香りが救ってくれる。
おざなりに作ってもカルパッチョはうまいのだ、ということがわかる。
ついつい、皿に並べてチャンチキおけさ♪ なんて唄っている自分がいる。
午後2時なのに、山梨で買った一升瓶の赤ワインをロックで一杯。
昼酒できないのに、浮かれ飲みして1時間だけダウンする。
5月初旬のクロダイはまだまだいける
皿ににんにくとオリーブオイルを敷くことから始める

体幹部分のあっちこっちの身が残ったので、カルパッチョを作る。
できるだけ薄く切りつける。
三角形の部分や腹の身の一部なので、きれいではなくても薄く薄く切る。
皿にオリーブオイル・にんにくを乗せて伸ばして塩コショウを振る。
ここにクロダイの身を並べて行く。