雛の節供にハマグリのワイン蒸し
軟体の膨らみに、春がちゃんと来ているなと思う

開いた貝殻から飛び出してきた軟体に目を見張る。
春らしい光景といってもいいだろう。
ふっくらと膨らんでしかも液体に満ちている。
間髪を入れず口に放り込んだら嵩があり、噛むと柔らかい。
この柔らかくて甘くて、終いに甘いのが来て、に、まさに春だなと思う。
ちょうど我が窓の下には紅梅が咲き始めている。
音楽のないボクの脳みそにも、もうすぐ春ですね♪ ではなく、春よ♪ が聞こえてくる。
おんもに出たい、と思ってしまう味でもある。
やはり内湾性のハマグリは最高、と思ったが、先日食べたチョウセンハマグリもおいしさが脳みそに残っているので、心が揺れる揺れる。
酒は抜きのつもりが蒸し煮した汁にグラッパを落として、ちょっとだけ。
このちょっとだけがうまい。