新潟県上越高田・妙高のサメ食文化4 煮凝りの作り方
上越市高田・妙高の煮凝りは東京から伝わったのかも

上越市高田から南、妙高市全域は明らかに海から遠く、山間部といってもいいだろう。
ただ、明治時代も半ばになると、日本海からは遠いが、信越本線の開業で東京がぐんと近くなる。
日本海で揚がる「むきざめ(アブラツノザメ)」よりも、東京経由でくる「ふかざめ(ネズミザメ)」の方がある意味近く、しかも安定的に供給されていた可能性もある。
上越市でも海辺の直江津が「むきざめ」で、山側の高田が「ふかざめ」なのはこんなところにある。
東北太平洋側で揚がり、東京経由でやってきた、「ふかざめ」で正月前後に作られているのが「煮凝り」である。
正月に煮凝りを食べる習慣があるのは東京都内(関東)と同じである。見た目的にも作り方まで同じ。この煮凝りからこの上越・妙高と東京との繋がりを感じる。
ちなみに正月前になると「ふかざめ」が宮城県気仙沼から送られてくる。
このときはコロ(輪切にしたもの)で売り買いする。
なぜコロなのか、も「煮凝り」について上越市高田、妙高市で聞取してわかってきた。
中骨の髄と周辺の軟骨などを使うのが本来の形だという

煮凝りの作り方。
コロで買うと中骨が手に入る。
この中骨がある場合には短く切り(魚屋で切ってもらう方がいいかも)、ゆでる。
そのまま冷ます。
冷ましたら取り出して、骨に突いた身や軟骨をとって置く。
ゆで汁は後に使うのでこれも取って置く。
皮はゆでて冷まして細かく刻む

皮は湯引きして、冷水に落として表面のざらざらした部分や、内側の汚れなどをこそげ落とす。
皮は生の状態で切るのは難しいので、多少大きくてもゆでてから処理した方がやりやすい。
きれいになった皮は冷まして、できるだけ細かく切る。
かなり強く煮凝っているので、硬さはコンニャクに近い

中骨を切った汁(中骨を使わない場合、水でもいいし、だしを使ってもいい)に骨周りの身、刻んだ皮を加えて煮る。
味つけは酒と醤油、甘い方がよければ砂糖か、みりんを加えてもいい。
出来上がったものは、コンニャクを思わせるほどしっかり弾力がある。
長時間室温に置いても溶け出したりしない。