コラム「大阪泉南のグレ(黒鯛)塩漬け」

正月の膳にグレの塩漬け


昔、正月に黒い魚を食べると「(家計が)黒字で縁起がいい」ので、泉南の魚屋、スーパーでは黒鯛(メジナで大阪ではグレ)を師走になると樽で塩漬けにした。
大阪府泉佐野市ではこれを、魚屋が12月25日より正月用に販売していた。
正月に焼いた「グレの塩漬け」を一人一尾ずつつけた。グレの塩焼きは数日にわたって食べられ、残ったものは仕事始めのお弁当にも持っていった。
ちなみにグレの塩漬けは泉佐野以外にも泉南で広く作られていた可能性がある。
『南大阪の伝統食』には泉佐野のグレ、貝塚市のアマダイ(アカアマダイ)、堺市のマダイと地域毎に正月の祝鯛は異なるとしている。
写真は大阪市中央卸売市場『井内水産』が復活させて作り販売しているものです。
井内正幸さん(井内水産/大阪市中央卸売市場 ■https://iuchisuisan.com/)、 『南大阪の伝統食』(小林宏編著 大阪公立大学協同出版会)

焼いたグレの塩漬け

内臓を取り去り、ある程度の期間塩漬けにしたグレ(メジナ)は磯臭さが抜け、熟成してうま味も増す。
塩で慣れたグレは焼きたてよりも冷えてからの方がおいしい。これを少しずつむしり取りながら食べるが、飽きの来ない味だ。
塩分濃度が高いので、10日以上食べ続けることができる。


小さな皿に移し替えながら食べ続ける

ラップなどをかけて数日食べ続ける。昔はそのまま箱膳などにしまっていたのだろうか?
食べる度に小さな皿に移し替えるのだけど、これがなんとも楽しい。
年取で焼いたものが小正月くらいまで食べられたのかも。


絶品! グレ塩漬け茶漬け

忙しい朝、酒の後などに、ご飯にのせて淹れ立ての番茶を注ぐ。これが実にうまい。
茶を注いでしばらく蓋をして置くと、うま味がお茶に溶け出す。


グレの塩漬けの焼き飯

グレの塩漬け焼き飯

焼き飯(炒飯)に使ってもいい。グレの塩漬けの塩分だけで、十分にうまい焼き飯になる。


弁当の菜


〈仕事始めにこの残りをお弁当に持って行ったものである〉『南大阪の伝統食』(小林宏編著 大阪公立大学協同出版会)
塩が慣れ、焼いて数日経ったグレの塩漬けには独特の風味がある。磯魚の臭みはすっかりなくなり、塩引き鮭とは別種のおいしさがある。これを弁当の菜にするのは、昔はかなり贅沢なものだったのではないか。

終いは熱湯を注ぐ

焼いて10日目。骨と皮だけになったものを腕などに入れる。
熱湯を注いで2〜3分置き、汁として楽しむ。
これでお終い。



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