おおつごもりなので、ひげだらの昆布締めをば

決してわかりやすい味ではない


まことに奇妙な魚である。
東京で矢鱈に高いのに、その高さは東京都周辺だけの話で、西に行くとなんだこれは、となる。
最近では大阪でも少々高いと言うが、東京と比べると需要がない。
佐世保で1キロ級を集めて、東京へ飛ばす(出荷する)、という人に会っているが、そのような魚なのである。
大型は東京を目指す。
余談になるが1キロ前後以上は豊洲市場という舞台に立てるが、小さいものはしがにもかからない。
もっと小さいのは明らかに未利用魚である。

ヨロイイタチウオは日本魚類学の父、田中茂穂の命名だが、東京ではもっぱら「ひげだら」である。
大きなくくりではタラに近く、本種のアシロ科で唯一の流通魚である。
今回は長崎産であるが、主に九州、山口県などからやってくる。

昆布締めは締まり具合を見るために、もういいかな? とときどき味見する。
この時間が、とても大好きさ♪ なのだ。
1日、締めた状態で食べたら、食べられたけど、本当に味がよくなったのは3日目である。

昆布の香りが口中を満たしていながら、切りつけた身はそんなに昆布の味はしない。
上品な白身で、ほどよいうま味と食感があるだけだ。
本当の味はほんの少し後から来る。
昆布と白身の合わさったおいしさと、甘さである。
この味わいに時差があるのが昆布締めのよさなのだ。

少しずつ、切りつけてほぼ一週間楽しんだが、昆布を残してなくなって、必ず手に入る、豊洲にまた行きたくなったものの、財布の中身がそれを許さず。残念無念。

金持ちではないので、考えに考えて買うのがヨロイイタチウオ


東京都豊洲市場場内、玉銀水産で「ひげだら(ヨロイイタチウオ)」を買った。師走になって、しかもベストサイズの、と思わず財布の紐をゆるめる。
このような思いきった値の魚が手に入るところが、豊洲の豊洲らしいところである。ちなみに昔ほど高くない。なぜか? 昔よりも仕事する料理人が減っているからだと思っている。
まずは水洗いして三枚に下ろす。
腹骨・血合い骨を取り、皮を引く。
軽く振り塩をして1時間以上置く。
表面の塩を酒で洗って、水分をきる。
これを昆布に巻いて1日以上置いてから切りつける。
1週間くらい食べ続けられる。


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