文化

大黒様の御歳夜に作られるハタハタの田楽

大黒様のお歳夜の膳


山形県庄内地方では、12月9日は「大黒様のお歳夜(大黒様の年取り)」といい、「まっか大根(二股大根)」、豆料理を大黒様に供えて、豆料理と「ハタハタの田楽」、「たらのこいり」を食べる。
東北や新潟県では大黒様が嫁を取りの日ともされており、「大黒様の嫁取り」、「大黒様の祝言」ともいう。
大黒は豊穣の神として民間信仰の対象である。豆や豆腐、大根などには五穀豊穣・子孫繁栄を祈るという意味があるのだろう。

ちなみに庄内地方の「まっか大根」は二股になった大根のことで、お供えにする。
膳には主に豆料理と大根を使ったなます、そしてハタハタの田楽が並ぶ。
スーパーなどには数日前から「ハタハタの田楽」と豆料理、また「大黒様のお年夜」用のセットが売られる。
古くは家庭で作ったものかも知れないが、今では鮮魚店・スーパーなどで買うものとなっている。
■左上から「ハタハタの田楽」、「たらのこいり」、「黒豆煮」、中央中「黒豆のなます」、「豆腐の田楽」、下左「黒豆ごはん」、「納豆汁」。
膳の右側にあるのが「こめいり(おこしともいう。これをを固めたもの、ばらのものもある)」。明らかに子孫繁栄をいのる祭事である。

庄内の鮮魚店では夜明け前からハタハタを焼き始める


庄内地方の鶴岡市、酒田市などでは鮮魚店で早朝からハタハタが焼かれる。
店に入ると数十本のハタハタ串の列がいくつも並んでいる。
外は厳寒、中は温々としていい香りが充満している。
「豪商(お金持ち)はイワシ(マイワシ)を焼いて膳にのせる」などと話してくれたりする。

焼き上がったハタハタに予約の経木


焼き上がったものは家庭ごとに経木がつけられる。
お客がやってきたらみそを塗って手渡す。
店内の香りだけでも大御馳走である。

焼き上がったらみそを塗って出来上がり


焼き上がったものに、みそを塗って店売りする。
当日は魚屋としての営業はお休みにして、もっぱら田楽を商う。

ハタハタの田楽はやたらにおいしい


「大黒様の御歳夜」の日に予約しておいた特大の田楽。
店で焼きたてを食べて、持ち帰ってまた食べたが、みそとハタハタが実に相性がよく。
骨が柔らかい魚なので丸ごとかぶりついて食べたらやめられなくなる。
数軒のものを食べ比べてみたがどの店のものもとてもおいしい。


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