活けじゃなくてもよかったかも、汐っこの刺身

食べ始めは締めた翌日より


活け締めにしてから36時間後の刺身はあっさりした中に味があった。
思った以上に脂が感じられた。
東京で、「汐っこ」が好まれるのは、カンパチはあまり大きすぎない方がいいということと、このあっさりした後口のいい味からである。
ちなみに相模湾北部、外房の沿岸域で秋には、せいぜい今回のサイズまでしかとれなかった。
それが今、小田原魚市場には3㎏、4㎏なんてのがごろごろ揚がっている。
この相模湾北部でのカンパチの大型化も温暖化のためだと思っている。

今回の「汐っこ」の、背の部分にも脂が感じられる。
これは明らかに秋だからだろう。
ただ、ブリ属のよさは適度に酸味が感じられることだと思っているが、この時点では、その酸味がまったく感じられない。

あっさりして後口がいい「汐っこ」らしい味


脂では腹の身に軍配が上がる。
舌触りも滑らかで、ねっとりした中に甘味さえある。
ひょっとしたらこの時点での味が、「汐っこ」らしさの極みかも。

これほど時間がたっても食感が残っている


さて、翌々日夜は締めてから60時間になる。
背を口に入れたら、まだほどよい食感が感じられた。
脂の存在もいちばん強い。
とろっとする舌触りなのは、うま味に脂の口溶け感がプラスされたからだろう。
ブリ属特有のほどよい酸味も出て来ている。

60時間後の腹の身は申し分のない味


さて、腹の身は今回のフィナーレだ。
強いうま味と甘味に、脂の口溶け感で言うに言われる。
ねっとりした舌触りにうま味が殷々と消えない。
小田原でカンパチを買うと3、4日刺身で楽しめるということだ。

活けか? 活け締めか? それが問題だ


2024年10月24日の神奈川県小田原市、小田原魚市場、江の安定置、ワタルさんのところにカンパチの汐っこ、成魚に近いものが並んでいた。汐っこが欲しいと思ったが、少し迷った。活魚と活け締めがある。
活け締めを「さんの水産」さんに競り落としてもらい、締めてもらう。
買い求めたのは、尾叉長42cm・1.25kg だった。
買った後でワタルさんに言われた、「今日は活け締めが人気だったな」に引っかかって帰ってきた。
帰宅後すぐに三枚に下ろして味見する。
悲しいことにまったく味がないし、少し硬い。
夕方も同じ。
刺身は翌日から。
さんの水産
https://www.sanno-suisan.com/


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