大分県佐伯のヘダイ、一工夫して天ぷらそばに
秋物に返信したそばにヘダイの天ぷら
久しぶりのヘダイの天ぷら、なかなかイケるなと思うものの、天種に不可欠である欠点(味の個性)がないので、冷静にみると、ただ単に、嫌みのない味でしかない。
今回、天下の宝刀、カレー粉を隠し味にすればよかったかもと思うけど、食べ進むと脂の乗ったヘダイの生み出す、こくが感じられてくる。
改めて食べると、ヘダイもさほど悪くない気がしてきた。
野菜はいまだにみょうが、オクラの夏野菜で、水前寺菜だけが唯一の変化である。
残念なことに、キク科の水前寺菜にしても東南アジアの野菜なので、本当の秋の葉物野菜ではない。
唯一の秋は、山形県山形市小川製麺の「そば(乾麺)」をゆでて冷やさないで、ゆでたまま食べていることだけかも。
我が家のもりそばは夏は洗って冷やす。
寒くなるとゆでたまま温かいままと、ときどき冷やしてと二色になる。
期限のある仕事があって、遅れに遅れて2時過ぎの朝ご飯には十分かも。
昔はこれで昼酒ならぬ、朝酒をやって、しかも仕事が続けられたのに……。
タイ科の天ぷらは一工夫しないとおいしくない
八王子綜合卸売センター、福泉で大分県佐伯のヘダイを買う。
ぴったり1㎏で体長34cmであった。
相模湾でもそうだがヘダイは秋になると脂が乗ってくる。
9月いっぱいは夏(高温)なので秋という概念は曖昧だが、触った限りでは身に張りがあり、脂がのっていそうであった。
以上は前回も書いた。
これをお昼ご飯の温そばのために天ぷらにする。
タイ科の魚は天種として残念至極、低級な素材である。
徳川家康が食べて死んだのがマダイの天ぷらが原因だと思わないのは、天ぷらにしてうまくないからだ。
江戸(東京)の天ぷらは小魚料理として誕生したので、ネズッポ科の、関東で「めごち」、関西で「天ごち」と呼ばれている魚の足元にも及ばない。
ヘダイも単純に天ぷらにはしない。
タイ科の魚を天ぷらにするには工夫を要すのだ。
まず、皮付きのまま薄切りにする。
天ぷらは皮が重要なので、天ぷらにするには切り身にして皮の面積の大きい小型が向いている。
振り塩をして1時間以上置き、水分をふきとる。
冷蔵庫にラップをしないで数時間保存してさらに水分をとる。こうすると香ばしく揚がる。
これに小麦粉をまぶし、衣をつけて高温で揚げる。
野菜はみょうが、オクラ、水前寺菜(はんだま、金時草、式部草とも)だ。
そばはゆでて洗わない。温かいまま食べる。
そばつゆは「めじか節(マルソウダ)」厚削りを水から入れ、アクをとりながら煮立てて、終いに「かつおぶし削り節(カツオ)」を追う。
一度濾して砂糖・みりん(好みで)・醤油で味を調え、ここにさらに「かつおぶし削り節(カツオ)」を追う。
砂糖が入らないと味がだれる。
■福泉は塩乾・鮮魚など多彩な水産物が買える。一般客も少なくないのでぜひおこしを。