琵琶湖産ワカサギの山椒煮

毎食小皿ひとつに小山を作って食べる


ワカサギは汽水域に多いが、純淡水域でも生活環(生から産卵、死、そして再生)をまっとうできる。
子供の頃、ボクの生まれた徳島県、美馬郡(当時は脇町・穴吹町・美馬町・貞光町・半田町・一宇村)でも、「あそこの溜池に『あまさぎ(ワカサギではなかった)』いるらしい」などと子供の間で話題になっていた。
こんな山間の町にもワカサギを放流する人がいたのだ。そして、その導入元が島根県だったので「あまさぎ」だった可能性がある。
1970年以前には戦争での飢餓体験が残っており、食料を増産するという考え方が強かった。そのひとつではないか、と思っている。このミニ移植は全国で行われていたはずだ。
これを巨大なプロジェクトとして実施したのが滋賀県琵琶湖だろう。
今や琵琶湖周辺のスーパーには当たり前のように湖産の鮮魚が並び、佃煮屋では湖産の佃煮が売られている。

ワカサギは山椒煮がいちばん好きだ。
若葉のことなら生があるが、秋なので粒山椒(ぶどう山椒)を使っている。
少しいじめた山椒からいい香りが立ち上がってくる。
ほぼつきっきりで煮るのだが、ときどきつまみ食いをする。
こんな無心になれるひとときもいい。

煮汁がねっとりしてきたらバットに広げて、まずは茶漬けでいっぱい。
ワカサギのいいところは煮ると、ほろっとした柔らかさになることだろう。
説明が難しいけど、シフォンケーキのような柔らかさではなく、ビスケットのようなもろさ、柔らかさだ。
甘辛い調味料の中にワカサギのうま味が感じられ、最後に微かな苦味が残る
山椒の実を合いの手につまむと、香りと刺激が口中に広がる。
このワカサギの味と山椒の刺激が心地よいリズムのようだ。
山椒煮は約1週間にわたり、ご飯の友となり、酒の友となる。

琵琶湖産ワカサギは少量をトレイに入れての流通なので鮮度がいい


八王子綜合卸売協同組合、舵丸水産に滋賀県からワカサギのトレイがきていた。浅い発泡トレイの中身は500gほどである。詳しい産地はわからないけど、久しぶりに買ってみた。
滋賀県琵琶湖のワカサギは1910年以後、福井県三方五湖、島根県宍道湖、茨城県霞ヶ浦から受精卵を導入したものだ。今や琵琶湖ではアユと並んで重要な産物となっている。

水は使わず、できるだけ甘辛く、こってりと


トレイの中にはいろんな大きさの固体が入っているので、小さいものを選別しておく。
これを水でざっと洗い、ザルに上げ水分を切り、このままラップをしないで水分を冷蔵庫で数時間寝かせる。
こうするとより水分が除去できる。
鍋にみりん・酒・砂糖・醤油を煮立てておく。
まな板の上で少しいじめた大量のぶどう山椒、ワカサギを入れ、強火で煮上げる。
煮詰まってきたら酒を加える。


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