体盤長1.1m前後になる。体盤に顕著な斑紋があるものと、ないものとがある。吻(先端のやや尖っている部分)の軟骨は硬くて折り曲げることは難しい。[写真はクラスパー(clasper)のある雄]
メガネカスベの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
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珍魚度・珍しさ
★★★
がんばって探せば手に入る魚貝の物知り度
★★★★
知っていたら達人級食べ物としての重要度
★★★
一般的(流通量は普通)味の評価度
★★★
美味
分類
顎口上綱軟骨魚綱板鰓亜綱エイ区エイ上目ガンギエイ目ガンギエイ科メガネカスベ属外国名
学名
Beringraja pulchra (Liu, 1932)漢字・学名由来
漢字 眼鏡糟倍 Standard Japanese name / Meganekasube
由来・語源 小型の体盤にある文様がメガネに似ているから。
カスベの語源/煮ても焼いてもうまくない、魚のカス(かすっぺ)だから。地方名・市場名 ?
生息域
海水魚。水深5m〜120mの砂泥地。
北海道全域、青森〜島根の日本海、青森〜千葉県銚子までの太平洋沿岸、沖縄舟状海盆。朝鮮半島南岸・東岸〜ピーター大帝湾、サハリン南部、千島列島。生態
卵生。産卵期は春。
「かすべのタバコ入れ」、「たこのまくら」と呼ばれる長方形で四隅に角のある卵殻に包まれた卵を産む。基本情報
オホーツク海から東シナ海まで比較的水温の低い海域の浅場で揚がる。「めがね」とあるが、眼鏡(めがね)を思わせるものは何もない。メガネカスベは北海道では「真かすべ」と呼ばれている。「かすべ」とはそのものずばり「かすのような」という意味合いだが北国ではごちそうである。徐々に本種などガンギエイ科の食文化が衰退しているが、とても味がいいのでもったいない限りである。
とりわけ比較的浅い海域にいる本種は、北国でももっとも古くから食用になっていたはずである。
韓国ではガンギエイ類を홍어(洪魚 ホンオ)。より日常的で料理法なども多彩、홍어회(ホンオフェ/刺身)、煮る、スープ、キムチなどになる。
珍魚度 食材として手に入れるのはさほど難しくはない。丸のままを手に入れるには努力を要す。水産基本情報
選び方
触って身に張りのあるもの。粘液が白濁していないもの。味わい
旬は不明だが夏ではないか。
正中線上と尾の部分に鋭い棘があるので要注意。皮はもろく弱い。軟骨魚なので骨は気にならない。
煮て軟らかく軟骨の触感がほどよい。6月15日の個体はあまり煮こごらなかった。栄養
ー危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
好んで食べる地域・名物料理
からかい煮(からがえ煮) 北海道などで寒干しにした「真かすべ」、「水かすべ」を水でもどして、甘辛く煮たもの。山形県米沢市などでは水戻ししたものが売られていて簡単に作ることができる。[山形県置賜地方・村山地方・最上地方]加工品・名産品
えいひれ 鰭の部分だけで皮を取り去ったものを干したもの。独特の味つけがほどこしてある。
干物 「真かすべ」、「真かすぺ」、山形県で「からかい」、「からがえ」、「からかえ」、「からげ」、「本かすべ」宮城県で「からかい」。鰭の部分を皮付きのまま素干しに下もの。東北地方で、水に浸して戻し、甘辛く煮て食べる。山間部などでは重要な食材。「かすべの干物」は真カスベ(メガネカスベ)のものと水かすべ(ソコガンギエイ属)のものがある。乾物を煮たものも出回っている。[北海組 北海道稚内市富士見]
米沢の味 本からかい煮 「本かすべ(真かすべ)」はガンギエイ科のメガネカスベを稚内で寒風干しにしたもの。これを丁寧にもどして伝統的な技術で煮ものにしたもの。味つけが上品で食べやすい。銘品である。[佐野水産 山形県米沢市中田町]釣り情報
ー歴史・ことわざ・雑学など
ー参考文献・協力
協力/大平朋洋さん(青森県鰺ヶ沢町)、佐野水産・かねしめ水産(山形県米沢市)
『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『新北のさかなたち』(水島敏博、鳥澤雅他 北海道新聞社)、『北の魚歳時記』(達本外喜治 北海道新聞社)、『聞き書 北海道の食事』(農文協)、『聞き書 山形の食事』(農文協)、『あがらっしゃれ真室川』(真室川町)