52cm TL 前後になる小型のエイ。肩帯部(目の後方左右)に暗色斑がないか、あっても丸い。尾の背面に雄は3列、雌は5列の棘があるが小型の個体では1列もしくははっきり列を作らないものも。吻軟骨長さは短い(少し尖る程度)。背面には小さな暗褐色斑が均一に散らばる。第1背鰭と第2背鰭の間と第2背鰭後方は短い。裏面のロレンチニ氏瓶の分布域の後縁は腹鰭前葉起部にたっしない。
ツマリカスベの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
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珍魚度・珍しさ
★★★
がんばって探せば手に入る魚貝の物知り度
★★★★★
知っていたら学者級食べ物としての重要度
★★
地域的、嗜好品的なもの味の評価度
★★★
美味
分類
顎口上綱軟骨魚綱板鰓亜綱エイ区エイ上目ガンギエイ目ガンギエイ科オカメエイ属外国名
学名
Okamejei schmidti (Ishiyama,1958)漢字・学名由来
漢字 詰糟倍 Tsumarikasube
由来・語源 本種の記載者で、日本板鰓類研究会会長でもあった、石山礼蔵の命名ではないかと考える。前後に短い(詰まる)カスベの意味。「カスベ」は捨てるくらいの値打ちしかない魚の意味。Ishiyama
石山禮蔵(石山礼蔵)。1912-2008年。魚類学者。ガンギエイ科の分類などで有名。東京水産大学教授など。日本板鰓類研究会会長でもあった。地方名・市場名 ?
生息域
海水魚。20〜50mの砂泥地。
東北地方三陸〜千葉県外海域、東京湾〜宮崎県沿岸。生態
ー基本情報
太平洋沿岸域の浅場に普通。東北地方以南の浅場に普通に見られる。刺網や定置網で揚がる魚で、三陸などでは食用として売り買いの対象となっている。まとまってとれない地域では廃棄されることも少なくない。
珍魚度 珍しい魚ではないが流通することはめったにない。水揚げの場などでこつこつ探すしかない。水産基本情報
市場での評価 関東ではまだ見ていない。
漁法 エビ刺し網
産地選び方
触って張りのあるもの。表面の模様がくっきりしているもの。味わい
旬は春から夏。
鱗はなく、棘は正中線上と尾の部分だけ。毒のある棘はない。
骨は柔らかく、皮は剥きやすい。栄養
ー危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
ツマリカスベの料理・レシピ・食べ方/焼く(干物)、煮る(煮つけ、みそ煮、煮凝り)、生食(湯引き)クリックで閉じます
ツマリカスベの皮なし干物 東北太平洋側では刺網や定置網に混ざることが多い。これを干物にすることが多いようだ。皮を剥いて干すという人と、皮付きのまま干すという人がいる。
ここではざっと水洗いして両鰭の部分を切り取る。皮を剥いて立て塩に15分ほど漬け込む。水分をよくきり2日にわたって干し上げた。もっと強く干してもいい。
あぶると香ばしく、軟骨の独特の歯触りが楽しめる。非常においしい。
ツマリカスベの皮つき干物 表面のぬめりを包丁でこそげ落とす。水洗いして両鰭を切り取る。水分をよくきり立て塩に15分ほど漬け込む。水分をていねいに拭き取り、2日以上干し上げる。皮は少し硬く感じるがあぶると味がある。軟骨の独特の歯触りも心地よい。クリックで閉じますツマリカスベの煮つけ 表面のぬめりを包丁などでこそげ落とす。水洗いして鰭と体幹の一部を切り身にする。湯通しして冷水に落とし、表面のぬめりを流す。水分をよくきり、酒・砂糖・醤油・水を沸かした中で煮る。味つけはお好みで。嫌みのない味わいで取り立てて味はないものの、軟骨の食感が心地よい。クリックで閉じますツマリカスベの煮凝り 醤油煮にしたものをほぐし、煮汁と一緒に冷やしたもの。とてもしっかり煮凝り、ほぐした身には味がある。冷たいままご飯に乗せて食べるととても美味。辛子などを添えて出すといい。クリックで閉じます好んで食べる地域・名物料理
ー加工品・名産品
ー釣り情報
ー歴史・ことわざ・雑学など
ー参考文献・協力
『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会 20130226)