ホシザメ

Scientific Name / Mustelus manazo Bleeker, 1854

ホシザメの形態写真

体長1.5メートル前後になる。細長く、白い星状の斑文が散らばる。第一背鰭と第二背鰭が離れている。
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体長1.5メートル前後になる。細長く、白い星状の斑文が散らばる。第一背鰭と第二背鰭が離れている。背の部分に明瞭な白い斑紋がある。
    • 魚貝の物知り度

      ★★★★
      知っていたら達人級
    • 食べ物としての重要度

      ★★
      地域的、嗜好品的なもの
    • 味の評価度

      ★★★★
      非常に美味

    分類

    顎口上綱軟骨魚綱ネズミザメ上目メジロザメ目ドチザメ科ホシザメ属

    外国名

    学名

    Mustelus manazo Bleeker, 1854

    漢字・学名由来

    漢字 星鮫
    由来・語源 白い星状の斑文が目立つため。
    Bleeker
    Pieter Bleeker(ピーター・ブリーカー 1819-1878 オランダ)。医師、魚類学者。『東インドオランダ領の魚類図鑑』(Atlas Ichtyologique des Indes Orientales Netherlandaises 1862-1878)。軍医としてバタビア(現インドネシアジャカルタ)に赴任。インド洋、西太平洋の魚を採取。

    地方名・市場名

    生息域

    海水魚。沿岸の水深38〜575メートルの砂泥地。浅場に多い。
    北海道全沿岸〜九州の日本海・東シナ海・太平洋。東シナ海〜朝鮮半島東部、渤海、黄海、南シナ海。

    生態

    卵胎生。
    6月〜8月に排卵し、交尾と受精が行われる。
    胎盤は作られない。
    ふ化後、卵黄を吸収しながら成長する。
    その後、子宮乳を摂取して生育、受精後10ヶ月ほどで体長23センチ〜30センチに生育し4月〜5月に出産。
    甲殻類のカニなどを主に餌としている。
    他には魚類、環形動物など。

    基本情報

    もっとも普通に沿岸域で見られる小型のサメ。
    サメのなかでもっとも味がいいと定評がある。
    生きているもの、水揚げされたばかりのものを、湯引きし、鱗を取り、また軽く湯引き。
    さらして辛子酢味噌で食べる。
    西日本では湯引きしたものがスーパーなどで売られている。
    また干ものなどにも加工される。

    水産基本情報

    市場での評価 西日本の市場ではしばしばみかける。都市部では観賞用(飲食店の飾り)として売られている。値段は安い。
    漁法 底曳網、定置網
    主な産地(カレイ類として)

    選び方

    触って硬いもの。星(白い斑文)がくっきりしているもの。

    味わい

    旬は秋から春 ただし夏期もおいしい。
    クセのない身で、旨みに欠ける。
    完全に生で食べるよりも火を通した方が味がよい

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    ホシザメの料理法・調理法・食べ方/揚げる(フライ、唐揚げ)、生食(ゆびき)、煮る(煮つけ、煮凝り)

    ホシザメのフライ 非常に上品な白身で、適度に層をなして繊維質なのでフライ材料としてはトップクラスである。水洗いして三枚に下ろして皮を引き、適当に切り、フライにする。噛みしめると揚げたパン粉の香ばしさがきて、肉汁がこぼれて柔らかい。パンにもご飯にも合う。


    ホシザメの湯引き、湯ざらし 内臓だけ取り除き、塩ゆでする。表面だけ火が通ったら、ザラザラした鱗をタワシなどでこすり落とす。これを食べやすい大きさに切る。臭みも嫌みもない。非常に淡泊な味わい。辛子を利かせた酢みそが合う。
    ホシザメの煮つけ 西日本では湯引きにすることが多く、東日本では煮つけにすることが多い気がする。頭部を煮つけにすると無駄が出ないが、ここでは体幹部を煮てみた。あっさり酒・しょうゆ味で煮てみた。イヤミがなくとても美味。みりん、砂糖など甘味をつけてもいい。
    ホシザメの煮凝り(すくめ) 青森県ではサメの頭部をゆでて、汚れや鱗、目、歯などを取る。これを冷ますと見事な煮凝りができる。これを酢みそで和えたものが「すくめ」だ。単に煮凝りとして酢みそで食べてもおいしい。

    好んで食べる地域・名物料理

    湯引き、湯ざらし 頭部を落とし、内臓を取り去ったものをゆでる。鱗をたわしなどでこそげ取り、皮付きのまま食べやすい大きさに切ったもの。和歌山県、愛媛県など。

    関連コラム(郷土料理)

    記事のサムネイル写真湯引き・サメの湯引き
    小型のサメ(ドチザメ科、サカタザメ科、カスザメ科)やギンザメをゆでて、酢みそなどで食べる料理で主に西日本で作られている。様々な呼び名があり、作り方も少しずつ違っ・・・ 続きを開く

    加工品・名産品


    のうさば干し 鐘崎福岡県宗像市)ではフグの延縄漁でたくさんかかるホシザメ(ノーサバ)を12月に開いてよく乾かす。これを正月などに刻んで水でもどして、調味液につけて料理する。[福岡県宗像市鐘崎]
    ノーサバ(ホシザメの数の子)鐘崎数の子(玄海数の子) 福岡県宗像市で作られる。ホシザメを丸のまま干したものを「ノーサバ」、「ノウサバ」という。これを細かく切って水でもどし、ゆがき、しょうゆ、酒、みりんなどの調味液につけ込んだもの。「鐘崎かずのこ」ともいい、年取に食べる。[福岡県宗像市鐘崎]
    てつ干してつ干し 沿岸で上がるホシザメを切身にして塩味をつけて干し上げたもの。ホシザメだけではなく、シロザメも利用されているようだ。あっさりした味で辛口の酒に合う。[高知県高知市]
    ふかの湯ざらし 西日本に多い。頭部を落とし、内臓を取り去ったものを軽くゆでる。鱗をたわしなどでこそげ取り、皮付きのまま食べやすい大きさに切り、冷水でさらしたもの。「味辛子(みがらし)」という辛子酢味噌をつけて食べる。南予地方では秋祭り、婚礼などに作る皿鉢料理につきもの。愛媛県八幡浜では水と一緒に袋詰めになって辛子酢味噌と一緒に売られていた。

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    ヒサメは丸ごと熱湯をかけて皮をはぎ、適度の大きさに切ってゆがきます。 『ふるさとの料理』(神近市子 中央公論社)

    参考文献・協力

    『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂)
    『福岡県文化百選 味編』(西日本新聞社)、『直伝ふるさと料理 伊予の台所』(愛媛新聞社)
    協力/土佐の博丸 高知市・永野廣さん、昌枝さん 

    地方名・市場名

    ホシ ホシザメ
    場所三重県志摩市大王町 参考林市兵衛さん 
    フカ
    場所徳島県海部郡海陽町宍喰 備考沿岸の小型のサメの総称として。宍喰では小型のサメを食べないので、細かく区別しない。 参考長尾桂一郎さん 
    ボウザメ
    場所東京都台東区葛西橋 参考20210202吉原努さん(江戸前漁師) 
    ノウソ(ノウソウ)
    場所熊本県熊本市 参考田崎鮮魚市場20181121 
    ハカリメ
    場所神奈川県小田原市 参考20190607 小田原魚市場 
    フカ
    場所福岡県福岡市、熊本県熊本市 参考長浜鮮魚市場20181120、熊本市田崎鮮魚市場20181120 
    ノーソ
    場所長崎県雲仙市小浜町 参考佐藤厚さん 
    カノコザメ
    場所青森県 参考『青森県 さかな博物誌』(日下部元慰智 東奥日報) 
    テッポウ[鉄砲]
    場所愛媛県松山市松山魚市場 
    ノウサバ ノーサバ
    場所福岡県玄海町 
    ノウクリ
    場所愛媛県伊予市行商 
    モダマ
    場所福岡県博多(福岡市)、熊本県熊本市 備考頭を取り、湯引いたj状体のもの。 参考長浜鮮魚市場20181120、熊本市田崎鮮魚市場20181120 
    ホシブカ
    場所山口県萩市・長門市 
  • 主食材として「ホシザメ」を使用したレシピ一覧

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