生息域 |
淡水→海水→淡水。海域沿岸部の水深20-30m附近。
北海道の太平洋岸。日本固有種。 |
生態 |
■ 10中旬〜11月上旬にかけて川を遡上、下流域で産卵する。
■ 産卵後、海にくだって成長する。
■ 翌秋にはオスは多くが成熟し産卵に参加して死ぬ。また小型のオスは海に残り、翌年2年目に産卵に加わる。メスは1年で成熟産卵、翌年には2度目の産卵をする。
■ だからシシャモの寿命は3年から4年。 |
基本情報 |
北海道東部太平洋側だけでとれる生息域の狭い魚。サケの近い種の魚で同じように産卵回遊のために河川に上るときが漁期。雌の子持ちを尊ぶ。古くは産卵期、川がシシャモで埋まるほどとれたもので、比較的北海道など産地周辺で食べていたもの。これが1970年前後からデパートなどの物産展などで人気が出て、とれなくなった時期と重なったためもあって高騰して今日に至っている。これを補っているのが北大西洋からくるカラフトシシャモだ。現在出回っているほとんど総てが輸入もの。国産シシャモの干ものは現在では高級品で庶民からは遠い存在だ。
1970年代には確実に鮮魚が都内に送られて来ているが、古くは北海道のローカルな味覚だった。北海道の秋、シシャモを干す光景は風物詩となっているが、この丸干しの高値は永遠に続きそう。 |
水産基本情報 |
市場での評価 干物は年間をとおして出回っているが、とても高い。関東の市場でも鮮魚は普通。秋には必ず見かける。値段は高値安定。
漁法 けた網漁(底曳網の一種)
産地 北海道 |
選び方 |
干ものは変色していないもの。やや強く干したものが美味。
鮮魚は触ってしっかりしているもの。成熟の進んでいないものがいい。 |
味わい |
旬は秋
鱗は薄く取れやすい。皮は弱く、骨は柔らかい。
血合いの赤い白身で熱を通しても硬く締まらない。 |
栄養 |
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寄生虫 |
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食べ方・料理法・作り方 |
シシャモの料理法・調理法・食べ方/生食(刺身)、焼く(塩焼き)、ソテー(ムニエル)、揚げる(フライ) シシャモの刺身 市場で高値になるのは刺身がうまいからだと思う。三枚に下ろして腹骨と小骨を抜く。小骨はとても柔らかい。皮を引き適当に切る。独特の香りと濃厚なうま味があり、非常にうまい。
シシャモの塩焼き キュウリウオ科の定番料理だと思う。鱗を鰓とワタを取り、振り塩をする。1時間以上寝かせてじっくりと焼き上げる。キュウリウオ科独特のアユに近い香りがして、皮や身にもうま味が感じられる。 シシャモのムニエル 骨が柔らかいので、水洗いして水分をよくきる。塩コショウして小麦粉をまぶして多めの油でじっくりソテーする。仕上げにバター風味をつける。じっくりソテーすると香ばしく、身は柔らかく豊潤で実にうまい。 |
好んで食べる地域・名物料理 |
日本全国 |
加工品・名産品 |
丸干し シシャモの丸干雌 11月頃から道東(北海道太平洋側)から入荷してくる。焼き上げると独特の風味があり、卵巣にうま味と甘味がある。高級品であるが、得がたい味わいである。 シシャモの丸干雄 雌は高級であるが、雄はお買い得だ。しかも全体のうまさは雌以上である。比較的強く干し上げたものが多いので、さっと軽くあぶって食べられるのもいい。 |
釣り情報 |
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歴史・ことわざ・雑学など |
■干物としては非常に高価。
■ヨモギの茎を口に通しシシャモを干す光景を「すだれ干し」と呼ばれ北海道の早い冬の風物詩となっている。
■卵に価値がある。加工食品(干物)では雌(めす)が高く、雄(おす)は安い。
■スーパーなどで「シシャモ」として売られているのはノルウェーやアイスランド周辺で漁獲されるカペリン(カラフトシシャモ)である。
■1913年に北海道大学の疋田豊治によって新種として発表された。
■日本固有種。
■産卵のために川に上る時期が漁の時期でもある。
■産地としては鵡川(鵡川町)、沙流川、十勝川など。
■昔は川を埋め尽くすほど遡上し、たくさんとれたとされている。
■シシャモが全国的に知られるようになったのは戦後のこと。 |
参考文献・協力 |
『新 北のさかなたち』(北海道新聞社 監修/水島敏博、鳥澤雅 編/上田吉幸、前田圭司、嶋田宏、鷹見達也)、『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会) |