SL 70cm以上になる。体側に目立った斑紋はなく、鯛型。イスズミ科では比較的体高がない。背鰭軟条は14(ノトイスズミは12)、尻鰭軟条は13(ノトイスズミは11)。
イスズミの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)



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珍魚度・珍しさ
★★★
がんばって探せば手に入る魚貝の物知り度
★★★★★
知っていたら学者級食べ物としての重要度
★★
地域的、嗜好品的なもの味の評価度
★★
まずくはない
分類
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目イスズミ科イスズミ属外国名
学名
Kyphosus vaigiensis (Quoy and Gaimard, 1825)漢字・学名由来
漢字 伊寿墨 Standard Japanese name / Isuzumi
由来・語源 「いすずみ」は和歌山県、伊豆での呼び名。「いするみ」、「えすずみ」などの変化がある。
「いす」は「石」、「ずみ」は「すみ」と同じで「棲」で磯(石場)に多い魚の意味という説がある。
〈イスズミ科イスズミ属イスズミ(ゴクラクメジナ) Kyphosus lembus(現シノニム)〉『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)地方名・市場名
生息域
海水魚。稚魚は流れ藻、成魚は浅海の岩礁域。
津軽海峡〜九州西岸の日本海・東シナ海、千葉県外房〜九州南岸の太平洋沿岸、琉球列島、小笠原諸島。
韓国釜山、台湾、広東省、インド-太平洋域。生態
夏は底生生物を秋から初春にかけては海藻類を食べている。
秋から冬にかけて、消化管に大量の海藻(ホンダワラなど)を抱え込んでいる個体をみる。基本情報
国内の比較的暖かい海域に生息している。非常に大型になり、まとまって揚がることもある。ただし多くの地域で臭味があるので廃棄されている。また昔は臭味のある魚を好む向きが存在したが、その昔ながらの人達が激減、現在ではほぼ食用となることはない。また寒い時季だけは食べているという地域も多い。
ただし、磯焼け原因の海藻食であるなど、現在も未来にも深刻な未利用魚である。
アイゴなどは扱いさえよければ臭味はないが、本種の場合、ていねいに活け締めにしてもだめなことがある。これを一定期間、生け簀で活かすなどしないと流通できないと考えている。
珍魚度 食用魚でもあり、それなりに水揚げがある。ただし流通しないので探さなければならない。水産基本情報
市場での評価/希に全国流通するが、あまり売れているとは言いがたい。
漁法/定置網
産地/和歌山県、千葉県など選び方
ー味わい
旬は寒い時期。臭味がある個体が多い。生よりも火を通した方が臭味が強いことがある。
鱗は硬く取りにくい。皮は厚みがあって強い。骨は硬くない。
血合いが変色しやすい。熱を通しても硬くならない。栄養
ー危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
イスズミの料理・レシピ・食べ方/生食(刺身)、揚げる(素揚げ)、汁(みそ汁)、煮る(煮つけ)、焼く(塩焼き)クリックで閉じます
イスズミの刺身 ていねいに扱った個体は刺身にしてもそれなりに身色が美しい。身質がよく味もある。ただし時間が経つと臭くなることがある。
水洗いして三枚に下ろす。腹骨・血合い骨を取る。皮を引き、刺身状に切る。
イスズミの素揚げ 皮付きのまま揚げると皮は硬くなるが、身側に揚げた香ばしい部分が生まれる。中は揚げた鶏肉のような食感で、魚らしいうま味がある。いちばんおいしい食べ方かも知れない。クリックで閉じます
水洗いして三枚に下ろす。水分をよくきり、そのまま素揚げにする。イスズミの韓国風焼き魚 少し臭味のあった個体だがごま油と、コチュジャン酢をかけてあるのでほとんど気にならない。上質の白身でほぐれ感も心地よくいける味である。クリックで閉じます
水洗いして三枚に下ろす。塩コショウして小麦粉をまぶしてごま油でじっくりソテーする。コチュジャン酢、ねぎをかける。イスズミの素揚げのみそ汁 揚げてみそ汁の具としているので、この揚げた風味が汁に移って印象深い味になっている。揚げた身はだしの効いた汁の中で、適度に濡れてしっとりしておいしい。クリックで閉じます
水洗いして三枚に下ろす。腹骨の周りなどをじっくり素揚げにする。これをだしを温めてみそを溶いた汁に熱々で放り込む。好んで食べる地域・名物料理
ー加工品・名産品
ー釣り情報
沖釣り、防波堤釣り(波止釣り)で釣れる。エサはオキアミ。歴史・ことわざ・雑学など
ー参考文献・協力
『図説有用魚類千種 正続』(田中茂穂・阿部宗明 森北出版 1955年、1957年)、『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂)、『商用魚介名ハンドブック』(日本水産物貿易協会編 成山堂)