すし屋にとってのホタテガイの歩留まり

ホタテガイ中型のすし屋の歩留まり


八王子綜合卸売協同組合、舵丸水産で買ったホタテガイは、ナミマガシワが欲しかったので買ったものだが、念のために貝柱(閉殻筋/貝殻を閉じるための筋肉)を刺身にしたときの歩留まりを調べておいた。
ナミマガシワは6g前後なので貝殻全部の重さは、168gとする。

剥き身にしたからと言って食べられる部分は限られる


軟体部分である鰓、肝膵臓(くすんだ緑褐色の部分で食用不可)、外套膜、足などの重さは67gだ。
可食部分は生で食べるとすると外套膜と貝柱だけ、すし種になるのは貝柱だけ。
外套膜の黒い斑点は光を感じることの出来る器官で、まあ目に近い働きをしている。
貝柱以外はヌメリがあるので、これをもみ出して初めて食べられる。
ちなみに産卵期の生殖巣(卵と精巣)も食べられるが、貝柱は若干痩せる。

貝柱だけにしても全部使えるわけではない


すし屋で使える部分は貝柱だけ。
これで刺身と思うかも知れないが、まだまだ刺身にするには早い。

貝柱からも取り去るべき部分がまだある


貝柱はぐるりと薄い皮膜に覆われているが、これを剥がす。
上から見ると三日月型の硬い筋も外す。

すし種に出来る部分はたったの2割で、1かんつけるか、2かんつけるか


とするとすし種になるのは33gである。
歩留まりは約2割でしかないが、すし屋の歩留まりとしては優秀な方である。
18g(すし飯は小は16g〜出前用の25g前後で18gが多い)のすし飯に、2倍近くの貝柱を1かんの握りにつけるか、2かんとるか、すし屋の稼ぎはこれで決まる。
すし屋は儲からないというすし職人が少なからずいるが、さもありなん。


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