コラム「冷や汁(生) ・サザエのひや汁」

長崎県五島の巻き貝を使った珍しい冷や汁


郷土史家の越中哲也(1921年長崎生まれ)が1945年の敗戦直後、五島列島有川太田で食べたとされるものだ。現在も作られているかどうかはわからない。
このあたりの日常食は「かんころもち」で、これを主食とする生活は苦しいものらしい。そんなときに麦飯(ごちそうという意味合いだろう)が炊かれ、供されたのが「ひや汁」である。
「海岸から子供たちにミナ(ギンタカハマなどではないか)やサザエをとってこらせて、それを庭先のシソの葉と一緒に小さく刻み、みそをすりばちですって水でとき、その中に貝とシソの葉を入れただけのものなのである。その汁を今たきあがったばかりの麦めしにかけて食べるのである」
これは明らかに生の魚の身を使った「冷や汁」のひとつで、巻き貝を使ったということでは非常に珍しい例だと思う。
『長崎学・續食の文化史』(越中哲也 長崎純心大学博物館)

非常に簡単に作れる

サザエ、もしくはギンタカハマなどの身を取り出し、内臓などを取り去る。足の部分を包丁で割り歯舌などを取る。
軽くヌメリを取り、青じそと一緒に細かく刻む。
みそをすり鉢ですり、水を加えてと溶き、先に刻んだサザエと青じそを加え和える。
炊きたての麦めしにかけて食べると、サザエのうま味と磯の香りが口中に広がり、香ばしい麦みそと合う。ご飯のすすむ「冷や汁」である。



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