銭州のオキアジのあらを、獅子唐とたく

あくまでも普段通りのおかずを、優しい味にたく


ボクは四国は徳島の人間なので、言語的には関西である。
「煮る」というと、なんとなく醤油辛く棘立って感じ、「たく」というと優しい穏やかな味を思う。
そしてボクの基本、通奏低音のようなものは、地味で日常的なところだと思っている。
事実、好きなものも目立たない、平凡なものだ。
だから魚料理の中でも、おかずを、「煮る」のではなく、「たく」ことがいちばん好きだ。

オキアジを前すると、作りたい料理が浮かびすぎて困るくらいだった。
結局15品以上作った。
中に、「獅子唐とあらをたいたもの」がある。
別に思いついたという事ではなく、八王子綜合卸売センター、八百角で獅子唐の特売をやっていて大袋を買った。そこにオキアジがあっただけだ。
あらからこそげ取った身がフレーク状になり、獅子唐にまとわりついている、ように見える。
今回の獅子唐も少し辛いのが混ざっていたが、なんとかこの甘いフレーク状のオキアジの身のお陰で舌をシーハーしなくても済んだ。
それにしてもオキアジのあらの豊かなうま味はすごいと思う。
獅子唐はちょっと青臭いくらいの軽いたき加減にしたが、この青臭味をオキアジのうま味が抱き込んで、一つの味に作りあげてくれている。
結局、みそ汁も作らず、これだけで茶碗1ぱいの飯を食らう。

素材はたった2つだけど、これ以上の名コンビはないと思う


八王子綜合卸売協同組合、舵丸水産、クマゴロウが銭州で釣り上げたオキアジの体長は40cmだ。この種としては最大級である。
過去にこれほど大きな個体は見たことがない。
以上は前回書いた。
オキアジのかまの一部や刺身にしたときの切れっ端を集めて置く。
ちょっと長めに湯通しして、冷水に落とし、水を切る。
骨などを取り除く。
鍋に砂糖・酒・薄口醤油・水を煮立たせた中であらを煮て、味が染みたなと思ったときに、爪で少し傷つけた獅子唐を投入する。
獅子唐がしんなりするくらいたく。


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