絵を描くように作るスギのカルパッチョ
カルパッチョは抽象画を愛でるように楽しもう
カルパッチョを作ったらいい絵が描けたかなとまずは愛でる。
この料理の語源はいろいろあるらしく、昔、専門料理では肉を並べた情景がカルパッチョの絵のようだから、というのがあって、そんなもんじゃねーかな、どうせこじつけだろうからと思っている。
この国でこれを魚介類にアレンジしたのだと思う。
ただイタリアでは、肉を薄切りにして並べてオイルやチーズ、調味料で味つけをするというのが基本であるなら、その縁を忍べるように作りたいと考えている。
だから並べるというのと、下になにかを敷いて、上になにかを乗せて描くように作っている。
今回のスギは脂の乗りはそこそこだが、うま味が豊かで食感もよかった。
ここに足したのはオリーブオイル・にんにく・塩につぶしたフルーツトマト、黒コショウにタイムとかぼすである。
昔、フレンチの店で甘みのあるキウイを乗せたのがあったが、白身(ヒラメ)には甘味が勝ちすぎていると思った。
甘味は最低限でいい。
取り分け、我が家の場合は甘味は最小限にしている。
魚本来の味と塩、スパイスが主で、そこに柑橘類の酸味がくると、きりりとした味になる。
いろんなものを抽象画のようになぐり描いたら、ちゃんとオリーブオイルが全体をまとめてくれている。
1枚1枚くるくると丸めて食べる時間もいいし、実においしいし、安い白ワインに合う。
大分県産スギは小振りながら上物だった
八王子綜合卸売センターで買った大分県産のスギは体長53cmと小振りだった。スギは小さいと身がごりごりすることがあるが、今回の若い個体はほどほどに脂があって身が柔らかく、味があった。
これを三枚に下ろし、皮を引く。
皿にすり下ろしたにんにく、塩、オリーブオイルを垂らして混ぜて置く。
できるだけ薄く切りつけて、端からオリーブオイルを伸ばすように並べる。
並べ終わったら、スプーンでとんとんと切りつけた身をたたいて皿に馴染ませる。
上から黒コショウ、塩を振り、オリーブオイルを回しかけ、またとんとんとスプーンで馴染ませる。
若いカボスの果汁を搾りかけ、かぼすのスライスを並べる。
つぶしたトマト、タイムをのせて出来上がりだ。