気温35℃を超えたら魚汁なのだ

熱々なのに体が冷めていくのがとても不思議


曜日の感覚がボクには存在しないので、駅前まで打ち合わせで出てはじめて今日が日曜日であることを知る。
下る坂道に陽炎が立つ。腰に下げている、温度計のアラームが鳴る。路上温度ではあるがまさかの40℃である。
やってきた相手も顔が赤い。こんなとき仕事をしちゃーいかんと話しながらも、ちゃんと打ち合わせて帰ってきた。
帰り着いて張りついたTシャツを脱いで、冷たいシャワーを浴びても体から熱が出ていかない。
横になっても落ち着かないので、考えに考えた末に、魚のみそ汁を作ることにした。
最近、沖縄が本州よりも暑いなんてとても思えないが、ほんの数年前まで圧倒的に沖縄の方が暑かった。
そんな沖縄の郷土料理が魚汁である。
「いまいゆの魚汁」は沖縄の定番的な食堂メニューだ。「いまいゆ」は新鮮な生魚のことで、魚汁とは魚のみそ汁のことである。
沖縄県で魚汁が汁以上の存在であることは、定食の主菜となっていることからもわかる。魚汁を頼むと、ご飯に漬物、小鉢が自動的についてくる。この「魚汁定食」は食事でもあるし、体から熱を追い払うための薬でもあるのだ。
実際沖縄で魚汁を食べると、元気になる。
あまりにも息苦しいので、本能で作った魚汁ともいえそうだ。
幸運なことに、八王子綜合卸売協同組合、舵丸水産、クマゴロウが釣り上げてきたタチウオのあらがまだ3分の1くらい冷凍庫で眠っている。
保存袋のまま流水で解凍して、湯通しして冷水に取り、水分を切ったものを鍋に放り込む。
ここに水を張り、刺し昆布(小さな昆布)をして、ことこと煮だして福島県相馬市山形屋のみそをちょっと多めに溶く。
みその塩気がいいのだろう。
熱々なのに体が冷めていく。
タチウオのだしがいっぱいでており、汁としてこの上なくうまい。
あまりにも体に熱がたまりすぎていたら、魚汁を作るに限る。


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