食べてみよう! 隣の珍魚 ギンカガミ

学者には珍魚未満だけれど、普通の人が見たらびっくりするはず


【学者などにとってはちっとも珍魚ではないし、超深海や、南北両極にいるわけでもない。魚屋でもスーパーでもときどき見かける魚だが、普通の人にとっては珍魚、というのを「隣の珍魚」という。】
6月になり鹿児島県からやって来ているギンカガミなどもその最たるものだろう。
「なんだこれ?」と思わないのは魚類学者だけだと思う。
本当の珍魚というのは定置網などに数年に1度とか、年に1度とかしか入らないものだけど、こいつはとれ始めるとやたらにとれる。
円盤投げの円盤のような形なので意外に扱いにくい。
非常に薄いため食べるところがびっくりするほど少ない。
安い上に扱いにくいので漁師さんにたいそう嫌われている。

ちょっと生臭い風だけど、風は風


一度知り合いのファンキーなすし職人に、団扇になるか実験してもらった。
「風はそんなに来ないけど、少しだけでも風を起こせる魚はコイツだけかもね」
と、職人は、生臭い風にいやそうな顔つきをしてぽつり。

全体も変だけど、顔はもっと変わっている


しかもこの魚、顔が作り物のようで変だ。
鳥のような、怪獣のような顔だし、口なのだ。
ついでにファンキーなすし職人に、暇なんだから下ろしてみてよ、というと。
「なんだこれ。身は薄いし、血合いがきれいじゃねー」
と怒っていたけど、
「刺身は味があるな」
と言っておりました。
まさにそのとおりでぺっちゃんこで食べるところは少ないけど、焼いても煮ても、刺身にしてもとてもおいしい魚なのである。
ときどき大どれする魚なので、珍魚珍魚と騒がれることはないが、食べたらおいしい。
もっと当たり前に小売店に並んで欲しい、隣の珍魚である。


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