サメのジョーズ化はやめて欲しい、おいしいネズミザメ

切り身にするとまことにキレイである


世の中には腹の立つことが多すぎる。中でも大げさな表現をするヤツは嫌いである。
内臓を食べなければ問題ないはずのソウシハギを猛毒魚と言ったり、サメが全部人食いだとばかり驚いたり。
日本列島にも危険なサメもいると思うけど、非常に少数派だし、地球上でのサメの被害なんて水俣病など公害の被害と比べると耳垢程度でしかない。むしろ日々の糧として活用されていることの方が多いのだ。
はっきりいいたい、サメはうまい! 近いうちにエネルギーの大量消費時代は終わるし、食べ物を資本主義の考え方で流通させる時代は終わると思う。
サメはもちろん資源の保全をしながらだけど、ちゃんと食べていかなければならぬ時代が目の前に来ているのだ。
売名行為や視聴率獲得のためにサメを悪者扱いするな!
サメをジョーズ化するな、といいたい。
さて、日本全国のスーパーめぐりをしながらサメ食について調べている。東京都など、ほんの四半世紀前までは国内でももっともサメを食べていたところなのである。関東で言えば栃木県、群馬県、埼玉県と敗戦直後などサメの配給分配が行われていたくらいだ。
八王子に近い、山梨県でもサメをよく食べていたし、今でも少ないながら食べている。
国内のサメ食には「ゆでる地域」と「煮つける地域」、少ないながら「生食する地域」に分かれる。
山梨県はネズミザメとアブラツノザメ流通圏なので「煮つける地域」に当たる。
久しぶりに山梨でスーパー巡りをしてきて、北杜市白州のスーパーに「もろ(ネズミザメ)」の切り身があった。
今現在急激な魚価の高騰の中にあって、非常に安く売られていた。サメは食べたらわかることだけどとてもうまいし、値段からして庶民の味方、ナウシカのような存在である。

関東で煮つけは日常的な料理だった


これを煮つけにして酒の肴、ご飯のおかずにし、ステーキにして山梨産一升瓶ワインの友とした。
ネズミザメの特徴は味に特徴がないことだ。くせがなく食べやすいものの、上品過ぎる味でもの足りなく感じるほどだ
今回の煮つけはたまり醤油で味に深みを出した。
一度湯引きして表面を霜降りにして氷水に落として粗熱を取る。
鍋に酒・みりん・水を加え煮立たせて切り身を入れる。
醤油を加えて、煮つける。
ある程度火が通ったらたまり醤油(我が家では煮つけ用には関ヶ原たまり)を加えてこくを出す。
煮ても軟らかく、繊維質なのでほぐれ感が楽しめる。
ネズミサメの味は万人向けの味であると思う。

思った以上にウマスギるサメのステーキ


思った以上にうまいのがステーキである。食感が牛肉に似ていて淡泊な味わいである。
塩コショウして、少し寝かせて味を馴染ませてソテーする。
火が通ったら皿に盛り、バルサミコ酢・ルビーポート・醤油・にんにくを加えてデグラッセしソースにする。
これなど赤の一升瓶ワインにぴったり合う。
パンにもご飯と食べても最高にうまい。


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