福島県相馬市の郷土料理「アイナメのたたき」を作る
郷土料理を再現するためにアイナメを買う
八王子綜合卸売協同組合、舵丸水産で宮城県産、活け締めのアイナメ(37cm ・963g)を買う。そろそろいい時季だというのもあるし、福島県相馬市の旅に出たついでに、この相双地区の郷土料理を作りたかったからだ。
この絶品のアイナメで何を作るかというと、「たたき」である。
岩手県、宮城県、福島県で「たたき」は細かく切った魚の身をねぎ、みそとたたいたものだ。宮城県では「みそたたき」という人もいる。
ちなみに、震災前の原釜漁港で「アイナメのたたき、作りますか?」と聞いたことがある。ウミタナゴやホッケで作るが、アイナメでは作ったことがないという人が多かった。もちろん少人数に聞いただけで、『聞き書 福島の食』(農文協)には、しっかり相馬の郷土料理として登場している。
「聞き書シリーズ」は1970年という急激な地域文化破壊年以前の、日常の食事に関する聞取であるため非常に重要な資料なのだ。
5月、宮城県のアイナメは旬を迎えている。
水洗いして三枚に下ろし、腹骨・血合い骨を取り、皮を引く。
見た目通りの素晴らしい魚なのは下ろしていても感じられた。
刺身にすると脂の口溶け感が微かだが感じられ、実に味わい深い。
アイナメの季節到来の感がある。
背の青い魚とは違った意味でのおいしさがある
さて、この相双地方の郷土料理の記載では、アイナメの身・ねぎ・みそを合わせてたたくだけとある。
久しぶりにその通りに作ってみる。ちなみに活魚なら生の肝、活け締めならばゆでた肝を一緒にたたくと味に深みが出る。
皮を引いた身は細かく切り、ねぎ・みそを合わせる。
今回はしょうがの搾り汁をたらした。
合わせてから切れる包丁でとんとんと切るように混ぜ合わせて行く。
ほんの少しねっとりするくらいにたたく。
アイナメの「みそたたき」はちょっとあっさりしているものの、脂がのっているせいかほんのりと甘味がある。
舌にうま味がほどよく残る。
どちらかというと酒の肴であるが、結構イケていると思う。
ちなみに昔から「魚・みそ・ねぎ(そのた時季の香りのある野菜)」を合わせてたたていた料理を作っていた地域を集めている。
我がサイト内では主に太平洋側に点在しているが、この点と点を繋げたいと思っている。
もちろん日本海側にもあると思うので、より広い地域で探さないとダメである。