東京都目黒区目黒本町『藤海産』でしめさばを買う
目黒区に残る、昔ながらの商店街
目黒本町商店街
ボクは通ではない。通ぶることもないし、あえて言えば通否定派だと思っている。だいたい何を食べてもおいしい幸せな人間なのである。だからデブ脱出ができないでいる。
若いときは変なコラムにはまったこともあるし、自分自身を見つめる能力に欠けていたが、最近、ますますボクにとって食は、探求するのではなく、探検する、好奇心を満たすためのものでもあると思っている。
だから日々、好奇心のアンテナを立てて歩いている。
目黒区目黒本町を水産物を調べる目的で歩いていたら、魚屋を大発見! 今や魚屋に出くわすなど都内では奇跡に近いのである。
東急東横線、学芸大駅から南下すると、駅周辺にも商店街があり、住宅地になったかと思ったら、いきなり100メートルあるかないかに思える小さな商店街に行き着いた。
個人商店が並んでいるのを見て、宮沢賢治の、ポランの広場にたどり着いたような思いがした。
思った以上に豊富な品揃えの魅力的な魚屋である
藤海産
その一角にあったのが、家族でやっているらしい、『藤海産』という店である。
マツカワがあるなど思った以上に豊富な品揃え、魚の鮮度も上々である。
何時ものようにしめさばを買い、気になったのでシバエビの串を買う。
東京といえどもいまだに、昔ながらの商店街がぽつん、ぽつんと、残っている。世田谷区下馬・下高井戸に商店街があり、さほど遠からぬ目黒区にもあるなんて、まだまだ東京も捨てたもんじゃない。
行きすぎた資本主義でなんでもかんでも壊すバケモノが横行しているので、この商店街達も危険な状況におかれていそうである。せめてボクが生きている間だけでも、商店街には残っていて欲しいものである。
シバエビを筏状に刺すのは難しいのでは
シバエビの塩焼き
さて、シバエビ串は魚屋の努力だと思う。
バラで売れるものをわざわざ串を打つという努力が見える。
客は振り塩をして焼くだけでいいのである。
やはり焼いたシバエビはうまい。
久しぶりに、築地にあったときの『天房』を思い出しながらくらう。
しっかり締めているものの味のバランスがいい
ゴマサバのしめさば
しめさばもおいしかった。ボクは大阪の平凡な何気ない居酒屋のしっかり締めた「きずし」がすきだし、魚屋の「しめさば」も大好きである。
かといって生に近いものが嫌いかというと、嫌いではないが、ときどきこのしっかり締めた「しめさば」を否定し、「生っぽいしめさば」が真の「しめさば」だなんて宣うヤカラがいるのは困りものである。だいたい味覚芽が消滅していそうなヤツほどそんなことを言う。
『藤海産』の「しめさば」は魚屋らしいもので、塩・酸味のバランスがボク好みだ。
近くにあったら酒の肴に頻繁に買ってしまいそうである。
魚屋のない世界なんて、つまらぬ、つまらぬ、砂漠のような世界なのである。東京にもこのような気さくで気軽な魚屋がもっと増えて欲しいものである。