ホウボウの鳴き袋を一夜干しに

他の魚と比べると鰾は大きめだ

ホウボウの鰾

ホウボウの鰾(浮き袋)のことを「鳴き袋」というかはわからない。出典が不明である。ボクの42年も前のカード(民俗学の)に、「鳴き袋とでもいうのかな?」として、以後あたかも出典があるかのように書き続けているが、その時点で手持ちの魚類学の書籍、総ての辞書、図書館で本草学の書籍を調べても載っていなかった。2000年には我がサイトのネット公開の初期段階が始まっているが、そのときにも鳴き袋を使っているはず。かなり不安だけど、呼び名としては悪くない気もするので使い続けていく。
ホウボウ科の魚は浮き袋の外壁が分厚く、内壁についている筋肉が発達していて、厚みがある。コイ科オイカワなどの仲間は薄い風船のようだけど、ホウボウのは厚みがあって触るとモチモチしている。
ホウボウはこの浮き袋を伸縮させ、グッグッと音を立てる。泣いているような、愚痴を言っているような音だ。たぶん海中でも鳴らしているのだと思うけど、釣り上げたときの鳴きっぷりなどはウシガエルの歌にも匹敵する。
小振りのホウボウには小さな鳴き袋しかないので、軽く塩ゆでしてつまみ食いするのが常だけど、そのおいしさに1尾に1つしかないのが残念だと思っていた。煮つけを作るときも大切にとっておき必ず入れる。肝よりもうまいと思ったこともある。
さて、このところホウボウを調べているので、大小いろいろ買い求めている。いちばん大きいのは600gもあって、鳴き袋も立派なのが出て来た。
煮てばかりいて、焼いていないなと思ったので、下ろしながらていねいに洗い、水分をとって取り分けて置いた。

小さいけれど味は大きい

鳴き袋の一夜干し

これを立て塩に10分ほど。少し長いと思ったけど、結果は上々だった。浮き袋に脂があるためらしい。
水分をよくきり、一夜干しにする(12時間前後)。
後は焼くだけである。
焼き上げて、適当に切り、香りをかぐと鯣のようである。
思った以上に強い香りで、これだけでも一級品だということがわかる。
しかも口に入れると半分溶けた脂が感じられるのである。
干し上げると多層構造であるのがぎゅっと圧縮されるのだけど、1層、1層の味の違いがある。
こうなると大型のホウボウを買う理由が変わってくるんじゃないか、なんて思ってしまう。
猛烈美味だ!


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