まだまだ風熱しなのでトコブシのしゃぶしゃぶ
冷凍庫で発見したトコブシに思わず驚喜
盆が明け、9月になっても、市場には魚がない状況が続いている。10日あまりも風邪で苦しみ。やっと酒でも、というときなのでやたら淋しい。
こんなときは冷凍庫をあさるしかない。出て来たのが愛知県伊良湖産のトコブシである。
流水で洗って貝から外し、貝殻にもどして冷凍しておいたものだ。
これをあっさり酒蒸しにしてもいいし、バター焼きにしてもいい。
4個体だけ解凍する。貝殻をタオルの上に伏せて水分をよくきる。
いろいろ考えて、いちばん簡単な料理に決めた。
しゃぶしゃぶの加減で味が変わる
材料は調味料とトコブシのみ。
三重県紀伊長島、『美鈴』の真似をして、軟体(足)の厚みを二等分にする。
鍋に昆布だし、魚醬(ナンプラー)、酒を煮立たせた中で、一人淋しくしゃぶしゃぶする。
このしゃぶしゃぶのし加減で味が変わる。
夜はふけても外の気温は29℃もある。
地虫(在来種)の声はひっそりと、アオマツムシのかまびすしさに、どことなく東南アジアのような夜である。
トコブシの口溶け感と濃厚な味わい、それでいて後味のよさ。
贅沢ではあるが気仙沼市『大越商店』、「鼎心」を冷やしていっぱいだけやる。
トコブシの強い味に、豊かなうま味の「鼎心」が合うけれど、正一合で我慢する。
早く風邪の虫消え去れ!