今季、サワガニの初食いは梅雨半ば

蟹の語源はサワガニ

サワガニのパック

サワガニは春になると入荷し始めるもので、毎年春になると初物を買っては食べていた。今年は慌ただしくて、これが梅雨時にずれ込んでしまった。
料理法はいたって簡単。ボウルなどに入れて水を少し入れて表面の汚れを落とす。水分をよくきって、素揚げにするだけだ。
料理中、よく逃げ出すので要注意!
さて、徳島県美馬郡貞光町(現つるぎ町字町)の商店街に生まれて最初に見たカニは、生まれた家と隣の家の間の小さな排水路にいた、イデンコガニ(サワガニ)だ。それほど身近な存在で川に行っても山に行っても、我が家にいても出合える、気にも留めない生き物だった。
イデンコガニの「いで」は「小さな水路」のことで、「んこ」は特別小さなという意味、そんな場所にいるカニということだ。「いで」ということばは香川県でも使われている。四国は平安時代の言葉がよく残っているとされるので、非常に古い言葉かも知れない。蛇足だが、ボクの故郷では大きな用水路には「お」をつけて「おいで」といったが、徳島県西部だけの言語かも。
ちなみに蟹という言語を動物学的な言語と思っている人がいるが、大間違いだ。タラバガニは蟹(カニ)じゃないなんて聞くと無知さらしおって、なんて思う。蟹という言語の歴史は古代にまでさかのぼる。言語の生まれるところは、主に都周辺で、古代の都は奈良県、京都府(現京都市の中心地)とすると淡水性の蟹に対しての呼び名となる。当然、もっとも身近にいる淡水性の蟹といえばサワガニである。

いつ食べてもビールがすすむ

サワガニの素揚げ

さて、サワガニはあまりきれいなところにはいない。ときどき道路を歩いていたりする、この小さなカニを故郷で食べ物だと思ったことはなかった。
上京して初めて家族と行った、銀座の和食店で素揚げになって出て来たときはビックリ仰天した。尊敬している山口瞳のエッセイですでに知識としては知っていたが、眼の前にくるとイデンコガニそのものなので余計に驚いた。
毎年サワガニの初食いをするたびにこんなことを思い出す。
サワガニの地方名を知っている方、教えて頂けるとありがたいです。


関連コンテンツ

サイト内検索

その他コンテンツ

ぼうずコンニャク本

ぼうずコンニャクの日本の高級魚事典
魚通、釣り人、魚を扱うプロの為の初めての「高級魚」の本。
美味しいマイナー魚介図鑑
製作期間5年を超す渾身作!
美味しいマイナー魚図鑑ミニ
[美味しいマイナー魚介図鑑]の文庫版が登場
すし図鑑
バッグに入るハンディサイズ本。320貫掲載。Kindle版も。
すし図鑑ミニ ~プロもビックリ!!~
すし図鑑が文庫本サイズになりました。Kindle版も。
全国47都道府県 うますぎゴーゴー!
ぼうずコンニャク新境地!? グルメエッセイ也。
からだにおいしい魚の便利帳
発行部数20万部突破のベストセラー。
イラスト図解 寿司ネタ1年生
イラストとマンガを交えて展開する見た目にも楽しい一冊。
地域食材大百科〈第5巻〉魚介類、海藻
魚介類、海藻460品目を収録。