小田原産キンギョでいりこ

関東では自作するに限る


神奈川県小田原市、小田原魚市場、江の安 日渉丸、渉さんたちの選別は至極ていねいである。選別された魚すべてが美しい。例えばその中に普通は選別しないような魚がいくつか並んでいたとする。当然、1つだけ競るというわけにはいかないので、1列全部買うことになる。小魚を大量に競っても、渉さんたちの魚なら持て余すわけではない。けど時間はかかる。
その1つキンギョ(ネンブツダイ)はゆで干しにした。ゆでただけでこんなにおいしいとは、などと再確認した。やや強めのたっぷりの塩水を沸かして、流水で汚れを落とした(渉さんのものはほとんど洗わなくてもいい)キンギョをゆでる。約5、6分くらい(大きさで違ってくる)ゆでたらザルに上げる。
扇風機で丸一日かけて干し、仕上げに冷蔵庫でより強く干し上げる。
ほんの10年前くらいまで外干しができた4月だけど、今や朝から生温いのだから致し方ない。
これでだし3回分の煮干しになる。そば、素麺、きしめん(関東平野の)の汁にしたが、やはりそば粉の麺ではなく、小麦粉麺に合う。
ネンブツダイの煮干し(いりこ)は四国の各所で作られている。四国人ではあるので、見つけたら買ってはだしをとっている。だしの味わいは、カタクチイワシよりも丸味がある。角がないというとほめ言葉になるが、ぱきっとしたところがない。
カタクチイワシなら普通、みりん・塩・醤油でいいが、少しだけ酒が欲しい。酒を入れるときりりと汁が締まる。

半日以上つけ込む


さて、ネンブツダイ煮干し・昆布・水を鍋に入れて半日以上置く。
4月、5月とやけに室温が高いので、フタをして保冷剤を乗せている。これを替えれば1日寝かせてもいい。
もちろん保存容器に入れ冷蔵庫に入れればもっと長くつけ込んでいても大丈夫だ。

丸味のあるだしになる


火にかけて指をつけられない温度になってきたら、昆布を取り出すタイミングを待つ。鍋の中で踊り始めた昆布を取りだし、沸騰しないで数分ことこと煮る。このまま鍋止めにする。冷めたら濾す。

キンギョ煮干しのきしめん


だしを火に掛けて、沸騰する直前に少量の酒・みりんを加え、醤油を入れて色加減をする。塩で味を調える。これでかけ汁の完成。
きしめん(あくまで関東の蒸しきしめん)を湯がき丼に入れてつゆを張る。天ぷらや竹輪、当たり前だけど薬味はお好みで。


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